明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第384回 細部が洗練されたアパート 建物のデザインや管理大事に
住宅新報 2021年5月18日 号 4面
【学生の目】
明海大学に入学してから建物や街を見る視点が大きく変わった。大学がある新浦安は埋め立て地であるがゆえに新たな街づくりができたという。大学の前の大通りは電柱が地下に埋められていることや、敷地の境界に塀がないことにより開放感がある。
大通りから少し入ると戸建て住宅を中心とした住宅街になる。低層の賃貸住宅も立地するが中高層の分譲マンションがなく、高さに統一感のあるきれいな空間になっている。もっとも、賃貸住宅は築年後の経年を感じさせる建築様式や管理の行き届いていないものも見られる。その中で魅力的な賃貸住宅を見つけた(写真)。
良いと思う第1の点は、バルコニーのデザインである。共同住宅のバルコニーは壁面から突出し、いかにも付属物といったものが多い中、壁面の中に納まっていて重厚感がある。この印象は、手すりのフェンス部分が幅のある横ルーバーになっていることと、外壁と面がそろっていてスッキリとしていることでもたらされている。手すりを壁面のように見せようとしたこだわりが伝わる。
第2は、壁面から少し出た水切りである。面をそろえる工夫の一方で、壁面とルーバーの間にある笠木が壁面より前に出て水切りの役割を果たしている。雨垂れの黒い筋で外壁が汚れない工夫で、管理の手間を省く効果があり、収益性の維持に貢献する。
第3は、住宅のエントランスだ。道路境界線近くに入り口を設ける賃貸住宅が多い中、後退した位置に門扉があり、空間が広がっている。床仕上げに変化があって引き込まれるように感じる、正面に見えるポストやインターフォンも雨で汚れないようステンレスの水切りが付いているなどの工夫によって、単純になりがちな屋外空間をにぎやかにしている。本格的なオートロックになっていない、すれ違い可能な広めの屋外階段は好感が持てる一方で屋根がないなど、すべてが高級というわけではないが、材料の使い方と細部のこだわりでおしゃれ感を演出している。費用を抑えつつターゲットを絞り込んだ経営戦略を感じる建物だ。
コロナウイルスでテレワークが普及し、居住者が建物に求めるものが変化していると感じる。出社する回数も減り、アクセスのよい土地、駅からの距離よりも建物自体を見るようになったと考える。
これからの時代は、建物のデザインや管理が大切になっていくだろう。
【教員のコメント】
プライドは対象への誇りとこだわりを示す。都市にシティプライドがあるとすれば建築プライドがあってもよい。建築は様々な材料を使い、工事の順番も職人も多様だ。それらを統率できていることを示す細部の納まりが建築プライドにつながる。























