旧借地法100年 定期借地権再考(3) 定期借地権推進協議会運営委員長 大木祐悟 壊さない未来の築き方 「解体更地渡し」に付すべき特約
住宅新報 2021年4月27日 号 7面
期間満了で契約が終了し、原則として借地人に建物の収去を義務付けている定期借地権は、空き家を増やさないための一つの有力な手法です。もっとも、環境問題の観点から考えると、「まだ利用できる建物を解体する」ことについて違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。
筆者も、利用可能な建物は利用し続けることについてはなんの異論もありません。あくまで、利用されない建物が放置されることが問題視されている中で、最終的に既存建物の撤去を前提としている定期借地権の仕組みは、「利用されない空き家を残さない」という観点からも優れているのではないかと考えているにすぎません。
満了時に無償譲渡
以上の理由から、定期借地契約においては期間満了時には借地人に建物の解体義務を負わせることは原則にすべきですが、一方で期間満了時において地主がその建物を利用できると判断したときは、現状有姿で建物を借地人から地主に無償譲渡できる旨の特約を付すことを推奨したいと思います。この特約により、借地人の側にも建物を適切に管理する意識が生まれやすくなることが期待できますし、その結果として良質な住宅ストックを形成することにも資することができるのではないかと思われます。
リノベ再販との相性
最近は、不動産の「リノベーション再販」がかなり活発に行われています。良質な住宅の二次流通市場を構築する上で、この動きはよいことだと思いますが、この傾向を更に推進するために、まだ利用できる空き家や他の建物について、土地は買い取らず定期借地権を設定して建物のみ買い取り、リノベーションをした上で再販するという事業スキームも検討の選択肢に入れることを提案します。
図のケースで考えると、土地も建物も甲が所有しているものの、甲が空き家にしている建物(建物のインスペクションは必要でしょう)について、乙が定期借地権を設定した上で建物を買い取り、リノベーションして定期借地権分譲をする、あるいは自らが利用するという考え方です。
なお、この考え方を応用して、例えば新築のマンションや住宅を分譲するときに、当初から100年以上の耐用年数を有する建物を建築していれば、期間満了時に無償譲渡されたものを地主がリノベーションして改めて定期借地権マンションや定期借地権付き住宅として再分譲をすることも可能ではないかと思います(もっとも地主が宅建業者でないときは、地主から建物を割安で購入した上で改めて土地に定期借地権を設定し、リノベーションして再分譲することになると思います)。
また、例えば古民家をリノベーションしてレストランにするようなケースでは、事業用定期借地権を利用することも可能です。
この場合には、最短で10年以上の期間を設定することも可能であることを念のため確認しておきます。
おおき・ゆうご=定期借地権推進協議会運営委員長。83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。現在は旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長、NPO都市住宅とまちづくり研究会理事ほか。日本不動産学会会員、都市住宅学会会員。賃貸住宅経営、借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題、生産緑地問題等を中心とした不動産有効活用と、マンション管理、マンション再生問題、被災マンションの復興問題等についての講演や論説多数。

























