明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第381回 外装の重要さ 重々しい威圧感は人を選ぶ
住宅新報 2021年4月27日 号 4面
【学生の目】
引っ越しや進学など、新たな場所で新生活を始めるための住宅探しはわくわくするものだ。間取りや内装だけでなく、建物の外装も重要で決め手の一つとなる。先日、大学付近の建物を調査した際、写真の建物を見て改めてそれを感じた。角地に立つアパートで力強さにあふれるが、女性の私がこのアパートを選ぶことはないと思ったからだ。
まず目についたのは、門も塀もなく、どこからでも、どこへでも接近可能な造りだ。セキュリティの面で無防備に思える。周辺の住人や通行人に誰が住んでいるのか、簡単に特定されてしまう。
次に、無理やり支えているように見えるブラケットの威圧感だ。2階の外廊下は柱でなければ片持ち梁で支える。片持ち梁は一端を固定端にし、他端を自由にした梁のことだ。メリットとしては、柱がないことで空間が広く見え、その部分を有効に利用できる。上の部分が浮いているようなダイナミックな構造にできることもメリットだ。デメリットは、片方しか支えがない分、上階が不安定で振動しやすく、変形や崩壊の危険が高くなることである。
片持ち梁は重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造や木造では比較的造りやすいが、軽量鉄骨造にはなじみにくい。そこで、この建物では大きな三角形の鉄製ブラケットを外壁に付けて支えている。普通の片持ち梁であれば天井裏に隠れるか、見えてもわずかだが、ブラケットがむき出しになっている。数が多い、鉄製で重々しい、多数のボルトが見えるなどが威圧感を感じる理由だ。
更に、1階玄関ドアの前に段差があり、出入りに不便で危険を伴う。無彩色で冷たい感じのコンクリート仕上げの床面の上に、温かみのあるテラスがあればよいのにと思う。そして、自転車が好き勝手に止められている。外構部分に十分止められる広さがあるにもかかわらず、道路上にも駐輪されていて、乱雑な印象を受ける。
内装はリノベーションされ、部屋に入るときれいで新しい空間が広がっているようだ。この建物の特徴は内部の機能性を重視する一方、外部はあまり重視しない点だが、外装は建物の顔である。現状、おしゃれとは言えないシルエットに女性は入居をためらってしまう。セルフリノベーションで入居者ごとに入り口のテラスを工夫する、階段の上り口にポーチを造るなど、住む人のぬくもりを付加するのはどうだろう。
【教員のコメント】
要塞のようなアパートに若い女性が違和感を覚える。外部の無駄を一切省く経営戦略は間違いではないが、外部不経済が生じる可能性があるほか、潜在的需要を限定してしまう反作用を伴う。外部にも一定程度手を掛けることで共生が可能となる。























