不動産現場での意外な誤解 売買編144 胎児も家督相続人になれたのか?
住宅新報 2021年2月9日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q 前回まで、旧民法時代の家督相続人の話をしていただきましたが、女性も家督相続人になれたというのには少し驚きました。
A 確かにそう思うかも知れませんが、それは、やはり当時は「家」の存続ということを第一に考えていたからだろうと思います。
Q とういうことは、旧民法は家督相続人になれる者の範囲をかなり広く考えていたということですね。
A その通りです。家督相続人は、一義的には直系長男子による家の継承ということになっていますが、女子を排除するものではなく、また、絶家を避けるために他人に家督を相続させる途も開いていました。それが前回申し上げた「入夫婚姻」であり、「婿養子縁組」の制度です。
Q すると、当時から胎児についても家督相続権があったといえそうですね。
A はい。家督相続人は相続当時生存していることが前提ですが、胎児については、相続についてはすでに生まれたものとみなされていました(旧民法968条(1))。したがって、胎児と他の者との相続権の優劣については、胎児は相続開始の時に出生したものとして判断されました。そのため、胎児が唯一の家督相続人であるときは、母が家督相続の届出をしますが、たとえば戸主に長女と胎児があるときは、一応長女を家督相続人として届け出て、生まれた子が男子であったときは、その男子を家督相続人とする戸籍訂正の手続がとられてしまいました(大正5年3月23日民240法務局長回答)。
Q 旧民法が胎児にも家督相続人の資格を与えていたことは驚きです。
A それらを含めて、旧民法が定めた家督相続人の範囲等は、次のようになっています。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























