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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 304 日影規制 客観的に示す日影図が重要

住宅新報 2021年2月2日 号 8面

連載: 知って得する建物の豆知識

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日影図の例

日影図の例

 昭和45~48年の高度成長期にはビルなどの建て替えや新築が多数発生しました。これに伴い、時間に追われたダンプカーやミキサー車などが交通法規を無視して爆走したことから、多くの事故を起こしました。また、工事による騒音・振動・日照阻害・採光阻害・通風悪化が発生して、周辺住民は行政による取り締まりを期待しましたが、このようなビル建築の激増は行政にも経験がなく、有効な法律も整備されていなかったため、社会問題化して数多くの訴訟が起こされました。しかし、次第に法整備が進み、斜線制限や容積率、建ぺい率、騒音規制などが制定され、日照権を調整するために制定された法律の一つに「日影(ひかげ)規制」があります。

 日影規制は建築基準法に基づき、冬至日(12月22日ごろ)に、周辺敷地に一定の日照を確保するよう、建物の高さを制限する規制です。具体的には冬至日真太陽時の午前8時~午後4時まで(北海道は午前9時~午後3時まで)の間、一定時間以上続けて影を生じないようにする必要があります。真太陽時とは一般にいう中央標準時(東経135度兵庫県明石市の南中時刻を12時とする時刻法)で、時計の時刻とはズレが生じます。東京の南中時刻は明石市より約20分早くなります。

 規制を受ける建物は建てる場所の「用途地域」と「高さ」から決められています。「第一種・第二種低層住居専用地域」は「軒の高さ7メートルを超える建物、または地階を除く階数が3階建ての建物」、それ以外の地域については「軒の高さが10メートルを超える建物」です。

 「軒の高さ」とは地盤面から小屋組みやパラペットの天端(てんば)までの寸法で、屋根の頂点ではありません。戸建て住宅の場合、軒高7メートルを超えるものは3階建てが一般的です。

 具体的な規制方法は「5h-3h/4メートル」のように表記されます。5h-3hは敷地境界線から5~10メートルの範囲では5時間まで、10メートルを超える範囲では3時間まで日影の発生が認められることを示します。4メートルは測定する高さが地盤面から4メートルであることを表しています。日影を測定する高さは実際の地面にできる日影ではなく、地面より高い位置にある水平面を想定して日影を規制します。第一種・第二種低層住居専用地域では平均地盤面より1.5メートル、その他の地域では平均地盤面より4メートル又は、6.5メートル高い位置です。水平面の位置が高くなるほど規制は緩やかになります。また緩和措置もあり、「道路に接している」場合には、道路幅員の2分の1まで道路境界線を広げることができます。

 太陽光線によって生ずる日影は光の回析効果によって、影周辺では太陽光線は影の内側にも回り込みます。その回り込みは建物との距離が離れるほど大きくなるため、規制距離と時間が二段階に設定されています。これらの規制を視覚的に表すのが「日影図」です。日影図は、建築物が発生させる影を時刻毎に平面図に書き込んだもので、周辺の建物が日影になる時間帯を客観的に示しています。中高層建築物の建築確認申請時には日影図を作成することが必要であり、マンション建設などでは住民説明用に作成する場合もあります。

 日影図の作成には精確な真北を求めることが必要です。真北測定には北極星、太陽の天体観測、ジャイロステーションなどが利用されます。悪天候の場合や視界が遮られる環境では、ジャイロステーションやGPS測量を利用するのが一般的です。

   (建築家・中村義平二)

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