明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第369回 スタイリッシュな長屋 景観と眺望を確保し高級感
住宅新報 2021年2月2日 号 4面
【学生の目】
近所を歩いていると少し意外感のある建物が目に入った(写真)。一見すると2階建ての普通のアパートのように見えたが、外に階段が見当たらない。住戸の中に専用階段があるメゾネットタイプのアパートかと思ったが、よく見ると玄関ドアが6つある。長屋タイプの集合住宅のようだ。
長屋は戸建て住宅のように各住戸が独立した周壁を持つのではなく、戸境壁を挟んで住戸が連続する住宅のことである。伝統的な長屋は、上下に別々の住戸が重ならないメゾネットタイプのテラスハウスであるが、住戸規模の小さい単身用の賃貸住宅では、1階住戸の上に、1階に玄関だけを持つ別の住戸が重なる写真のようなものも増えている。
このタイプの最大の特長は、よく引き合いに出される江戸時代の長屋とは違い、デザインがスタイリッシュで、新しい暮らし方をイメージさせることだ。
まず、アパートやマンションのような共同住宅とは違って廊下や階段などの共用部分はなく、各住戸が独立している。アプローチを通ってそのまま各住戸に行くことができるので、プライバシーが確保される。また、外観が戸建て住宅に近く、住宅地の景観を損なわない。
次に、外構に配慮がある。茶色とアイボリーでまとめられていて建物と一体感があるほか、賃貸住宅には珍しく戸建て風の門構えがあり、その両側には道路境界線全面に高木と中低木を組み合わせた植栽がある。両者が相まって落ち着いた雰囲気が感じられる。門扉にはオートロック機能があり、防犯面でも安全性が保たれている。また、門扉は開いても歩道にはみ出ない位置にあって高級感がある。
駐輪場は自転車が道路にあふれ出ないように塀の中にあり、高さのある屋根が付いている。雨が降っても濡れずに済むことに加えて、通常の高さの屋根が損なう眺望と景観を確保し、〝安っぽく〟見えないようにしている。
少し残念に感じたところは駐車場だ。裏に回ると1台分の駐車スペースがあったが、よく見てみるとその奥は2住戸分の専用庭になっていた。駐車場を設置した理由はいろいろ考えられるが、空間としては思い切って駐車スペースをなくし、全面的に1階住戸の専用庭にしたほうが一体感が強いと感じる。
部屋を借りる人は希少な専用庭に広さや利用の自由度を感じることができ、街並みの連続性も高まるのではないかと思う。
【教員のコメント】
電柱が宅地内にあり間口が広いことから、かつて良好な戸建て住宅地として開発され、立派な戸建て住宅が建っていたと思われる。戸建て住宅地の価値を損なわないように配慮した賃貸集合住宅に、家主の人柄と敷地分割回避の決意や工夫を見る。























