ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 150 日本不動産仲裁機構 不動産・建築事業者からの相談事例
住宅新報 2021年1月26日 号 8面
連載: ADRの現場から
日本不動産仲裁機構が実施するADRは消費者の方だけでなく、不動産・建築事業者の方からも、柔軟かつ迅速にトラブルを解決する手法として活用されています。今回は、事業者から寄せられたADR相談事例について紹介いたします。
まずは、担当した物件オーナーからテナント原状回復費用を全額請求されているという不動産仲介会社A社です。原因は「エステ」として紹介したテナントがグレーゾーンの「メンズエステ」だったということ。なお、同じビルでは1階にある歯科医院で漏水があり、2階のテナントが退去しないと原因調査が困難だったことから、オーナーに不利な条件で退去をしてもらっており、その原状回復費用も仲介したA社の責任だとして請求をされていました。A社としては、オーナーと和解がしたく、話し合いを望んでいました。
次は、リフォーム会社B社の相談事例です。B社は、姉妹のお客様から同じマンションの2部屋を、フルリノベーションをして販売をしました。しかし、引渡後2週間程度で「トイレ配管まわりの床が凹んでいる」「塗装の仕上がりが悪い」という証拠写真が2部屋分、姉妹から送られてきました。B社はお詫びと補修をさせてほしいとお願いをしてきましたが、姉妹からは「残金の支払いをしない」「他の業者に補修をさせて請求書をB社に回す」などの返事しかもらえない状態。B社はなんとか話し合いで和解をしたいと考えていました。
3つ目は、外壁補修工事を中心とした業務をしている建築会社C社の事例です。C社は8年程前に、10階建てマンションの外壁タイルの補修工事等の工事を行いました。そして最近になり、C社の補修工事とは関係のないと思われる経年劣化を理由に、このマンションの居住者が300万円ほど値下げしてマンションを売却したから、その分を支払ってほしいと連絡を受けました。C社は、自社とは因果関係のない事象にも関わらず金銭を要求されたことから、恐喝の可能性があると捉えましたが、万が一、C社の認識不足もしくは物件を売った人の思い違いがあるかもしれないと考え、まずは話し合いをするという選択肢を希望したのです。
最後は、住宅建材の輸入販売をしているD社の事例です。D社はUV加工が施してあるフローリングを工務店に販売しましたが、施工後約半年で床の色が日焼けにより変色をしているとのクレームを受けました。工務店も日焼けによる変色は理解していましたが、あまりにも早すぎるため、納得ができないということでした。D社はフローリングの日焼けに関するデータをまとめ、まずはそれをもって和解のための話し合いがしたいということでした。
最近では、多くの事業者がADRによるトラブル解決を希望していますが、柔軟性があり裁判と比べてコストがかからないというメリットに加えて「まずは話し合いによる和解を試してみたい」という理由もあるのです。
●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
























