アートとまちづくり(下) デジタルアートが街に人を呼ぶ まちづくりの中で重要な要素に
住宅新報 2021年1月26日 号 4面

森ビルの「デジタルアートミュージアム」
「アークヒルズ」(東京都港区赤坂)を生んだ森ビルは当時、海外の諸都市では芸術文化が身近で日常にあることを念頭に、都心の街が〝働くだけの場所〟ではなく、そこで働く人や集う人たちに豊かな情緒や心の潤いを与えられるようにとの意図で音楽ホール「サントリーホール」を導入した。「六本木ヒルズ」(東京都港区六本木)では〝文化都心〟をコンセプトとした複合施設を含むまちづくりを行った。同社のまちづくりは日々の暮らしと仕事の中で気軽にアートを目にし、感じ、触れられる機会をもたらした。
同社は日常の街や訪れた街にアートがあることが意義だと捉えている。これこそが〝世界から人を呼ぶ街〟であり、〝都市の力をもつ街〟であるというのだ。
アートが人を呼び込むという点で、同社が18年からオープンしたアートミュージアム「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」(東京都江東区青海)も重要な意味を持つ。
〝地図のないミュージアム〟というこの場所は、デジタルアートに身体ごと包まれながら複雑なアートの世界を探索し、同時に自身がアートを創造するという、デジタルアートならではの新しい体験ができる。
乗降客1.5倍に
その魅力は、そこに暮らす人や働く人だけでなく、広く世界の人を引き付ける。実際、同ミュージアムが誕生したことで、お台場を含む臨海エリアへの来訪者が増加。最寄り駅の新交通ゆりかもめ・青海駅の乗降者数を以前の約1.5倍にした。同ミュージアムには世界160カ国以上の国々の人が訪れている。同ミュージアムの実績は、デジタルアートが国境を越えて人々を魅了できるという先進事例だ。アートがデジタルという新しい技術を取り込み、それをまちづくりに生かすことは重要な要素になる。デジタルアートを生かしたまちづくりの今後が期待される。
近年、不動産関連でアートに注目した動きが広がっている。スタートアップ向けのオフィスビルやマンションの共用部にアートを取り入れ、差別化要因としてアピールする物件も増えてきた。アートが人を引き付ける力は、今後のまちづくりの中で重要性を増していくだろう。





















