ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 145 競売・前所有者の気持ちを考える 日本不動産仲裁機構
住宅新報 2020年12月8日 号 7面
連載: ADRの現場から
以前、こちらのコラムに「今、コロナ禍によって住宅ローンの返済ができなくなってしまったため、競売にかけられる物件が後を絶たない」と書きましたが、そもそも競売は、物件を探す買主にとって「割安で不動産を取得できる」ということから、とても人気がある仕組みでした。しかし、競売を活用するためには専門知識と業務ノウハウが必要であり、例えば、取得後の前所有者に対する立ち退き交渉などは、買主がしなくてはなりません。そして、ここにトラブルが発生するケースが多くあります。決められた立ち退き期日を過ぎても前所有者が物件に住み続け、立ち退く気配がないというものです。
ここで、買主を競売に関するトラブルから守り、安心・安全な取引をサポートしているのが、先のコラムでも紹介しました東京都の不動産会社S社です。S社が「全所有者が立ち退きに応じない」というトラブルが発生してしまい、困り果てた買主から相談があった場合は、正しい手順と法律知識をもってトラブル解決を支援します。その際、ADRを活用することも少なくありません。トラブルの原因として前所有者の「感情的な問題」がある場合は、じっくり話合いの場を設け、相手の話を聞きながら交渉を進めることが重要だからです。
ADRは、「トラブルになってから」のみならず、「トラブルになる前」のトラブル予防にも活用することができます。本来はトラブルになる前に前所有者に退去してもらうことが望ましく、そのためには落札後に速やかに前所有者と退去日に関する交渉をし、ここでしっかりと理解を得ておく必要があります。つまり、退去日を決めるためのADRを行うのです。























