課題解決ビジネス 再生不能物件への対応 (2) 武蔵コーポレーション 新築アパート事業「エムクォート」 建築事業にも参入
住宅新報 2020年12月8日 号 5面

埼玉・川口市に完成した「エムクォート」
中古収益物件の買取再販とその管理を主事業とする武蔵コーポレーション(東京都千代田区、大谷義武社長)が新規事業としてアパート建築に乗り出した。「エムクォート」のブランド名で展開する。個人投資家が所有する古い収益物件の建て替えや地主の土地活用など、対応の幅を広げるのが狙いだ。既に約10棟の受注をしている。
「エムクォート」は木造で、特徴は、住宅性能表示の劣化対策等級3、耐震等級2を確保するなど質を維持しつつ価格を抑えた点。工事費は、外構工事込みで1K(25m2)戸当たり500万円~、1LDK(42m2)戸当たり750万円~という設定だ。
「都心に比べて賃料相場の安い地方都市でも利回りを確保できる」(同社)商品として開発した。
同社は05年に創業して以来、1都3県を中心に築30~40年の老朽化したアパートを買い取り、建物調査を行った上で必要な改修工事を実施し、個人投資家に資産運用の手段として販売・管理する事業を手掛けている。17年からは自社で再生することで一定水準を満たした物件を保証付きで販売することも開始し、現在の管理物件は1.7万戸超に上る。
バブル期物件多く
ただ、最近は投資家向けに収益物件を仕入れる中で、シロアリ被害や傾きがひどく、再生することが難しいと判断せざるを得ないケースが目立ってきたという。国内にはバブル期に建てられたアパートが多く、既に築30年超を経ているからだ。
大谷社長は、アパート建築事業参入の理由を次のように話す。「新築ありきではなく、オーナーの悩みを解決することが目的。老朽化してリノベーションが難しい物件はこれまで、依頼があっても断るしかなかった。これからは新築という手段も持つことで、顧客に対してリノベーションもしくは建て替えのどちらか適したほうを提案できるようになる。幅広い解決策が提案できる」。更に、数年前の相続税の基礎控除額引き下げで課税対象者が増加していることから「相続税対策としての土地有効活用ニーズも強まっている」と話す。
相談件数1.5倍に
同社によると、昨今のコロナウイルス感染症の流行で個人投資家の投資意欲が更に高まっていることを実感しているという。「おおむね相談件数が1.5倍に増えた。将来不安に加えてコロナがそれを増大させている。資産形成の必要性を、これまで以上に感じているのではないか」(大谷社長)。
新たに新築という手段を加えることで、同社は収益用不動産の専門会社として、建築から工事、売却、購入、管理といったあらゆる側面からオーナーの様々な悩みに応えることができる。(井川弘子)





















