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プレミアム会員限定不動産現場での意外な誤解 賃貸借編140 改正民法605条の3はどういう趣旨の規定か

住宅新報 2020年12月1日 号 6面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

売買・賃貸仲介

 Q 改正民法605条の3の「合意による不動産の賃貸人たる地位の移転」という見出しの規定は、その前の605条の2の「不動産の賃貸人たる地位の移転」という見出しの規定と関連があるように思えるのですが、条文だけを見ていると、その意味がよく分かりません。

 A 確かに605条の3だけを見ていると、よく分からないと思います。しかし、この両者は関連があり、いずれも賃貸不動産が譲渡された場合の賃貸人の地位の移転に関する規定です。そしてその違いは、605条の2は、その賃借人に賃借権の対抗要件が備わっている場合の規定で、605条の3は、その対抗要件が備わっていない場合の規定だということです。そのために、605条の2の規定には、その1項に、借主について賃借権の登記がある場合や借地借家法による対抗要件が備わっている場合のことが例示として定められています。

 そして更にその両者の違いとして、605条の2の場合は、その賃貸不動産の売買によって、原則として、自動的に賃貸人の地位が買主に移転する旨を定め、605条の3の場合は、その賃貸不動産の売主が賃貸人であるときに、売買当事者の合意(話し合い)によって賃貸人の地位を買主に移転させることができる旨を定めています。

 Q なるほど。この両者の規定は、賃借人の対抗要件の有無によって条文を分けているのですね。

 A そういうことです。

 Q そうすると、605条の2は民法上の賃貸借などで借りている物件を売買する場合に適用される規定だということですね。

 A その通りです。具体的には、例えば駐車場を経営している人が、その駐車場をそのままの状態で売却したいという場合に、売買の当事者間で、その駐車場の経営を買主が行うという合意をすれば、それだけで駐車場の借主の同意なしに貸主の地位が買主に移転するということを定めているのです。

 そして、その場合においても、買主がその売買による所有権移転の登記をしない間は、借主から駐車場料金(賃料)の支払いを拒絶されることがあり得るということのほか、買主が、借主への敷金の返還に係る債務を承継する旨も定められているのです(605条の3後段)。

渡邊不動産取引法実務研究所

     代表 渡邊 秀男

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