不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽 578 入居者の背信行為 家主の厚意にそれはひどい
住宅新報 2020年11月17日 号 6面
以前、この紙上ブログで紹介した「人がよすぎる家主」の続編。同居していた母親が亡くなった姉妹が家賃を持参した際に、「おたくも大変だろうから、今月の家賃は払わなくていいよ」と言い、更に家賃を1万円下げた。その上、この夏にはエアコンを付けてあげることにしたという。
亡くなった母親がエアコン嫌いで、ここ数年の猛暑でも姉妹はエアコンなしで我慢していたが、その様子を見ていた家主が「もう付けても大丈夫だろう」と判断した。物件は連棟式テラスハウスで、他の部屋にはエアコンが付いていることだし、それ自体は問題なく姉妹も喜んでいた。
まさかのゴミ屋敷
ところが、である。日程を調整して、電器屋が取り付けに行き、室内に入ると、ものすごいゴミの山。階段まで埋まっていて、どこにも脚立が置けないほど。改めて出直すことになった。
家主も電器屋から報告を受けて飛んでいくと、その様子を見て腰が抜けるほど驚いたという。それはそうだろう。立派な会社に勤めていて、毎朝きちんとした身なりで出勤しているのをいつも見ているのだから、まさか室内がゴミ屋敷になっているとは思わないもの。というより、よくそんな状態で電器屋の訪問を受け入れたと思う。
家主からの相談を受け、私が入居者の姉のほうに電話すると、「ゴミのことですよね。すみません、片付けます」と言う。なんでもゴミをためるのは妹のほうで、妹は「ゴミではなくて、すべて必要なもの」と言っているらしい。だが、ゴミ屋敷の主は総じてそう答えるのだ。
姉は平謝りも
私が「1カ月くらい猶予をあげますから、11月中に片付けてください。11月末には私がチェックに伺います」と言うと、観念したかのように了解した。
更に「家主は、お母さんが亡くなられた際には家賃を免除して、値下げまでしてくれて、今回はエアコンまで付けてくれようとしています。こんな部屋の使い方をしているのを見れば、ショックを受けるのも当然。こういうのは家主に対する背信行為ですよ」と叱ると、平謝りだった。
部屋をゴミ屋敷状態にしているのはこの姉妹だけではない。経験上、約束していても11月中に片付いていることはないと思う。 (坂口有吉不動産・社長)























