紙上ブログ 不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽 575 同業者にかけた迷惑 よかれと思い、頼んだが
住宅新報 2020年10月27日 号 6面
以前、「自分の立場が分かっていない客」という記事で書いた貸家に問い合わせが入った。私の夏休み真っ最中のこと。「すぐ見たい。今日これから見られないか」と言うが、それは無理な話だ。現地待ち合わせになるし、すぐに支度をして出発しても1時間半はかかる。
それで、先日私が案内に同行した仲介業者の担当者に連絡した。「もし今日も営業されているなら、当社は仲介料は結構なので、そちらで案内していただけますか」と私が聞くと、「うちは大丈夫ですが、よろしいんですか」と遠慮しつつも、快く受けてくれた。
家主へ恩返しを
家主は不動産会社の苦労を分かっていて、いつも私によくしてくれる。ここで恩返ししなければいつするんだという話。自分の利益に固執してせっかくの商談を逃してしまったら申し訳ない。その点、仲介会社の担当者は苦労人で、よく心得ていた。
ところが、その担当者が後で電話してきて言うには、申し込みはしたいものの、いろいろと条件があるという。まず今借りているところにも退去の予告をするため、すぐには借りられず、日割り発生をできるだけ後ろにしてほしいということ。更に、エステやネイルのサロンをしたいので、それに合わせて外壁を塗り直していいかということ。加えて、娘にも見てもらいたいから娘の都合がつき、見てもらうまで結論を待てないかということ。
借りる保証はない
実のところ、他からもそれなりに問い合わせが入っていた。いつなら娘の都合がつくのかも不明だし、必ず借りてくれる保証がない中で長くは待てない。だが、こちらでお願いしておきながらむげにもできない。そこで1週間だけ待つことにした。
他の条件は家主も受けてくれるから、その点は全く心配していない。しかし、他からの問い合わせに対し、「こういう事情で検討中のお客様がいるため2番手ということでよろしければ」と言わなければならない。そうすると、せっかく前向きに検討しようとしていた客を逃すことになる。それでも条件を飲んで待っていたが、結果は「娘の都合がつかない」と2週間も待たされた揚げ句、断りが入った。話を振った担当者に申し訳ないことをしてしまった。何かで埋め合わせをしたい。 (坂口有吉不動産・社長)























