施工業者等を決める場合のルールを理事会の内規としている場合があります。「〇万円以上の工事は3社以上から見積もりをとる」「〇万円以上の工事は管理会社には発注しない」「大規模修繕工事の施工業者は公募入札で決める」等々です。
過去の内規が火種に
しかし、ある期の理事会が内規としてつくったルールが、その後の理事会の運営を拘束できるかというと、それは難しいのです。総会で決議していない限り、どんなに引き継ぎをしても、それ以降の理事会で、採用しなければならないことにはならないのです。それが紛争の火種になることがあります。
あるとき、理事会が内規に沿わないことをすると、その内規をつくったときの理事から、なんで内規を守らないんだ…とクレームがつくのです。今の理事は内規の存在を知りませんし、もちろん、それをつくるに至った経緯を知りません。理事会にしてみれば、総会で決議された業務の執行に関して、自分たちが話し合って、一番いいと思う方法で行うというのは正論です。
たとえ、内規をつくるときに強い思いがあったとしても、総会決議を経ていないということは、なぜこのルールが必要なのかという説明を組合員に向けてしたことがないし、その記録もないということです。
内規を総会決議しておけばよかった、これでは理事会運営がおかしくなる…と昔の理事長が悔しがることがあります。でも、状況は常に変わっていきます。施工業者との関係も、管理会社との関係も、10年前と今とでは違っています。10年前にベストと思われたルールが、今は逆に足かせになっていることもあります。ですから、理事会運営のルールは、その内容だけでなく、なぜそのルールが必要だったかという背景と理由を、きちんと残すことが大事なのです。時代が変わっても、守り続けるべき考え方がある一方で、状況の変化で、そのルールに沿わなくても目的が達せられるのであれば、ルールは変えてもいいのではないでしょうか。
大事なのは、ルールをつくるときも、変えるときも、組合員にきちんとその趣旨を説明することです。「決議」以前に、説明責任を果たす場として「総会」があるということを忘れないでほしいと思います。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
「廣田信子のブログ」発信中























