マン活に励む管理組合~良好なコミュニティの秘訣~ ワコー王子マンション2【後編】 東京都北区 買い取り住戸を活用 耐震工事で助成金も
住宅新報 2020年10月20日 号 19面
連載: マン活に励む管理組合
ワコー王子マンションの管理組合は、15年ほど前、区分所有の駐車場を買い取った際に管理組合法人格を取得しています。買い取った駐車場(7台分)は入居者に貸し出し、その収入を修繕積立金や管理費に組み入れています。そのため、今回も住戸の買い取りにためらいはありませんでした。
また、これも偶然ですが、2階の1住戸に空きが出ることが分かり、それを買い取って集会室にしようか、という話がちょうど進んでいたタイミングでもあったのです。701号室は、相続人と住戸買い取りという形で話を進めていくことができました。これに加え、601号室の居住者には管理組合が買い取った2階に移ってもらい、601号室を集会室にする案で計画を進めることにしました。
通常、上階から下階に移動するのは敬遠される人が多いもの。そこで、管理組合では角部屋の採光の良い部屋であること等の条件を説明し、さらに内装改修費を負担することで説得したのです。結果的に601号室の住人は快諾し、無事耐震改修工事を済ませることができました。その後601号室はコミュニティルームとして使用、701号室は賃貸に出しています。
耐震補強工事への対応は、説明会での説明以上にかなり大変なものでした。部屋の柱梁の側面に穴を造り、穴へ接着薬液と共に鉄筋を入れて壁を補強する内容で、平日の朝から夕方まで轟音が響き渡ります。601.701号室に隣接する住戸の方は、工事の時間には外出しなければならない状況でした。ただ、工事をしたのは17年。東日本大震災や熊本地震を経た後で、住人全員に地震の恐ろしさが身に染みていて、耐震工事の重要度への理解があったので、大きなクレームなどはありませんでした。
修繕委員会では、工事コストも最大限に工夫を凝らします。まず、緊急輸送道路に面している立地を生かし、耐震補強の助成金をもらうことができました。また、耐震補強工事と3回目の大規模修繕を同時に行うことで、足場にかかる費用なども節約できました。更に、専有部分の窓はすべて二重サッシに交換。省エネリフォームの補助金も受けました。「自己負担金ゼロ」をモットーにしている修繕委員会の面目躍如です。
耐震補強工事後は、その後たびたび起こった小さな地震の際にも「以前に比べて安心できるようになったという声が多い」と修繕委員の秦野さんは言います。コミュニティルームとなった601号室は、理事会や修繕委員会、その他サークルの集会などにも活用されています。
また、耐震基準を満たしたことで地震保険は割引になり、耐震補強後に住戸を売却した人は、購入時よりも高く売れたそうです。その後も修繕委員会では、修繕しなければいけない箇所を常に洗い出し、予算の中で適宜対策を打っています。経験と知見を積み上げた修繕委員会がある限り、マンションは安泰です。
(取材年月:20年2月)
【マンション概要】
建物名/ワコー王子マンション▽所在地/東京都北区▽階数/11階建て▽総戸数/173戸▽竣工年/1979(昭和54)年▽管理形態/全部委託▽管理会社/(株)ジョイ・コミュニティ▽総会開催/毎年5月▽役員数/13名▽役員任期/1年(輪番制、うち3名がもう1年留任)
























