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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第347回 コストと機能の均衡 配色を工夫して差別化

マンション・開発・経営
  • 角田 智紀 不動産学部3年

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  • 壁面の色彩が目を引く

    2 / 2壁面の色彩が目を引く

 【学生の目】

 コロナウイルスの脅威が収まらない中、じめじめとした梅雨は明けたものの、次の試練とばかりに今年の夏は記録的な猛暑となった。そんな中、町へ赴いたときに写真の賃貸アパートが目に留まった。

 一般的な造形で、ことさら目を引くデザインではないが、不思議と印象に残る。その要因として考えられるのは、壁面の彩色だ。この建物の壁面は、だいだい色と黒色で塗り分けられている。暖色と寒色のコントラストは人の目を引くと聞く。だいだい色と黒色のコントラストにシンプルな外観が相まって、この建物は非常に見栄えがいい。

 建物が目に付いた理由が分かったと同時に、もう一つの疑問がわいた。この建物を見たとき、一般的によく見るデザインと感じた。しかし、一般的な建物のイメージはいったい何に根付いたものか、ということだ。目を引かれる理由をより詳しく言語化すると、「似たようなデザインの建物はよく見るが、珍しい配色だったので目が引かれた」となる。画一的な住宅の開発や似たようなデザインの建物は、国が推進したニュータウン開発のほか、民間企業の団地開発や土地所有者による個別開発など、あらゆるところで目撃する。

 これらの開発は昨日今日始まったものではない。長い年月をかけてこの国の景観を形づくってきた建物群が、今に生きる私たちの一般的な建物像につながっている。つまり、私たちが日常的に見慣れ、親しんでいる住宅はシンプルなものが多いということが、集合住宅すなわち画一的な存在という印象につながっていると考えることもできる。

 なぜ、シンプルなアパートが画一的なものとなって増えたのか。それはコストカットと機能美を追求した結果と考える。豪華で個性的な住宅を建てれば相応のコストが掛かり、賃貸住宅にすると当然家賃も高額になる。それが昨今の賃貸住宅の利用者に求められているかといえば答えは否である。

 現在、賃貸アパートを借りる人は独身者が多くの割合を占めている。故に低家賃で借りられる機能的な建物が求められる。シンプルで似たような住宅が画一的に増えていくのは必然的である。しかし、今回見つけた建物のように配色で差別化を図るなど、画一的だからといって、没個性であることに甘んじるわけではないという経営努力が見て取れる。今後、似た建物の中に潜む隠れた工夫というものを探していきたいと思う。

 【教員のコメント】

 柱梁で構成する軸組構法は繊細な〝線でデザイン〟できる一方、 〝面でデザイン〟するツーバイフォー構法の外観は退屈になりやすい。省エネのための狭い開口部や経営を安定させるための工費圧縮が背景にあるが、大胆な色使いに新鮮さがある。

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