ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 128 日本不動産仲裁機構 借主と家賃保証会社間でのトラブル事例
住宅新報 2020年7月28日 号 8面
連載: ADRの現場から
20年7月16日、家賃保証サービス事業者では初の新型コロナウイルス関連倒産が発生しました。家賃滞納が増加してしまい、保証履行が増加してしまったことによるものです。不動産業界ではショッキングなニュースであり、当然、他の保証会社においてもコロナ禍によって保証履行の増加が起こっていると考えられ、同様の倒産の可能性も危惧されます。もちろん、賃貸管理会社や賃貸オーナー、入居者はこの動向を注視する必要性があるでしょう。
なお、家賃保証に関するトラブルは今までも発生しており、その種類としては、主に(1)貸主と家賃保証会社間、(2)借主と家賃保証会社間、に大別することができます。(1)については、今回と同じく家賃保証会社の倒産に起因するもので、貸主が家賃保証会社から家賃を回収することができなくなるという事例がありました。
また、(2)の借主と家賃保証会社間のトラブルに関しては、「家賃滞納をしたら家賃保証会社に鍵の付け替えをされて部屋に入ることができなくなってしまった」や「家賃保証会社から深夜早朝に滞納家賃の取り立てを受けた」等、家賃滞納に関するものが主になっています。そして、家賃保証会社の中には強引な取り立てを行う事業者もあり、そのような場合は入居者が訴えを起こすケースもあります。
ここでは、家賃保証会社からの強引な取り立てに関する相談を受け、このトラブルを解決した愛知県の不動産会社D社(ADR調停人候補者在籍)の事例を紹介します。D社が仲介した物件に入居していたA氏は、3カ月間の家賃滞納をしてしまい、そのことによって部屋に置いてあった持ち物を家賃保証会社に処分されてしまいました。更に「来月も支払いがなければ、鍵を付け替えて入室できないようにする」と忠告されました。「確かに家賃滞納をしてしまった自分自身に非はあるのだが、無断で私財を処分することはやりすぎでないか」とA氏はD社に相談をしました。D社がA氏に今後の滞納家賃の支払計画を確認したところ、そのビジョンは計画的であるように思えたため、間に入って両者の対話を促進し、トラブルの解決を試みることにしました。
話し合いを経て分かったことは、とにかくコミュニケーション不足であったということです。家賃保証会社はメールでの督促に終始し、A氏もメールを見て見ぬふりをしていたため、この話し合いが両者の初めての対話となりました。話し合いによって、家賃督促会社はA氏の経済状況は思ったほど悪くはなく、返済のビジョンがあることが分かり、A氏も自身の滞納が大事になっていたことが分かったのです。結果、A氏が返済計画の提出とその履行を約束し、家賃保証会社も処分してしまったA氏の私財を弁償するということで、このトラブルは解決しました。
●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
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