不動産現場での意外な誤解 賃貸借編132 通常の賃貸借では面積不足の責任は生じない?
住宅新報 2020年7月28日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回の賃貸借編の記述を読んでいると、通常の建物賃貸借契約においては、面積に多少の誤差があっても貸主は契約不適合責任を負わないように感じているのですが、そういう理解でよいのでしょうか。
A 必ずしもそういうことを言っているわけではありませんが、前回の趣旨は、通常建物賃貸借契約を締結する場合、借主が事前に目的物件の広さ等を確認した上で契約を締結することから、目的物件そのものに問題はなく、したがって、その面積に多少の誤差があっても、その誤差が契約の目的を達し得ないようなものでない限り、契約の成否には影響がないということを申し上げているのです。
Q ということは、通常の取引では、契約の目的を達し得ないような誤差は生じないということですか。
A そう言ってもよいと思います。なぜならば、建物賃貸借契約の際の目的物の面積表示は、通常、建築中の建物であれば、その面積は建築確認に基づく壁芯計算による面積を表示し、完成物件であれば、内法計算による登記面積を表示した上で壁芯計算による面積との相違点について重要事項説明をすることになっているからです。したがって、目的物がワンフロアの一部を間仕切りしたものであって、その中の柱は含むとしても、その面積計算は間仕切壁の中心か内側かという違いしかありませんので、契約の目的を達し得ないような誤差は通常生じないと考えられるからです。
Q いずれにしても、建物賃貸借契約においては、その建物の面積に多少の誤差があっても、貸主が責任を負うことはほとんどないということですね。
A そう考えてよいと思います。ただ、それには1つ条件があって、それを仲介する宅建業者が業法上の義務を守り、正しい重要事項説明を行っていることが前提になります。
Q 逆に言えば、仲介業者が正しい広告や重要事項説明をしている限り、仮に面積が増加したとしても、貸主は借主に対し、賃料の増額請求はできないということになりますね。
A その通りです。しかし、そのような場合は、逆に、貸主と仲介業者との間の媒介契約上の債務不履行(調査不十分)ということで、仲介業者が貸主から損害賠償請求を受けるかもしれません。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























