紙上ブログ 不動産屋の独り言 563 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 部屋探しをしないことのススメ 好青年だが、世間を知らず
住宅新報 2020年7月28日 号 6面
アルバイトで生活している青年が来店した。「この辺りで家賃3万円くらいまでで風呂付き、エアコン付きの物件はないでしょうか」と聞く。立川駅徒歩10分で3万円というのは風呂なし、エアコンなしで、築年数の古い物件の家賃相場だ。駅からバス便でも3万5000円はする。家賃10万円で探しているというのなら予算5000円の増加は許容範囲かもしれないが、予算3万円で部屋探しをしているのなら1000~2000円の差は死活問題だろう。私が「3万5000円なら風呂もエアコンも付いている物件があります」と答えたところで、「では、それでお願いします」とはならないはずだ。
駅までの坂が不満
他の不動産会社にも行ってみたのか聞いてみた。すると、「行きましたが、『あるわけがないよ。最低でも4万円はするから』と、話を聞いてもらえませんでした」と言う。それはそうだろう。誰だって徒労に終わると分かっていて、そんな条件での部屋探しなどしたくない。だが、話くらいは聞いてあげようかと思い、どうして部屋探しをしているのか聞いてみた。すると、今は多摩都市モノレールの某駅徒歩10分のアパートに住んでいて、交通費は会社負担。駅からアパートまでが結構な坂道だという。駅に向かうときは下り坂だが、仕事を終えて疲れて帰る際は上り坂。毎日のことだとつらいから部屋探しを考えたという。だが、現在はユニットバスとエアコンも付いていて家賃は2万4000円。多摩川を越えると家賃はそんなに下がるのかと驚いたほど。























