ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 126 外壁塗装が引き起こしたシックハウス事例 日本不動産仲裁機構
住宅新報 2020年7月14日 号 8面
連載: ADRの現場から
賃貸管理を行っている愛知県の不動産会社H社。賃貸物件においてマンションの外壁塗装は、入居者満足度や入居率にも影響する重要な物件メンテナンス事項となります。H社は、外壁塗装を多く実施してきたため、その分多くのトラブルも経験してきました。
H社が経験した外壁塗装トラブルを類型化すると、(1)工事に関するトラブル、(2)仕上がり後のトラブル、(3)入居者や近隣住民とのトラブル――になります。
(1)に関しては「入居者の自転車などの所有物への塗料の飛び散り」や「塗装工事の遅延による機会損失」などがあります。また、(2)に関しては「剥がれや色あせ」や「塗りムラや塗り忘れ」、「サビの発生」などがあります。この(1)と(2)については、入居率に直結してしまうトラブルであるといえるでしょう。また、(3)に関しては「騒音への苦情」や「塗料の臭いに対する苦情」があります。
代表者がADRの調停人候補者のH社は、紹介によってオーナーから外壁塗装に関するトラブルを相談されることがあります。ここではその事例を紹介します。
賃貸マンションオーナーのA氏の所有する物件では外壁塗装工事を行っていましたが、入居者のB氏より「塗料の臭いによって体調が悪くなっているので、工事をすみやかに中止してほ欲しい」と連絡がありました。B氏はもともとアレルギー体質であり、医師の診断ではシックハウス症候群の疑いがあるとのこと。しかし、塗装工事は半分ほど終了しており、この段階で中止するというのも考えにくいものでした。しかし、当然のことながら、B氏の体調にも気を配らなければならないところが悩ましい点でした。
ここでH社は、賃貸オーナーA氏に話し合いの場を設けることを提案し、B氏もこれに同意しました。話し合いの場においてH氏が行ったのは、B氏のライフスタイルをしっかりとヒアリングするということでした。特に知りたかったのは「どこに勤めているのか」ということ。勤め先によっては、A氏の所有している他の物件に、工事の期間中は移ってもらおうと考えたのです。ヒアリングの結果、B氏はA氏の所有する物件の近隣に勤めていることが分かり、B氏も住まいを移ることを快諾してくれました。
この事例でうまくトラブルが解決したのは、H社が「話し合いによって解決の方法を探ろう」と考えていたからです。このスムーズな解決に、A氏はH社に対する信頼を感じ、以後、賃貸管理に関するコンサルティング等を依頼するようになりました。
●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
※調停が体験できる「ロールプレイ研修」を定期的に実施しています。
























