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プレミアム会員限定マンションを救う ――適正化法、円滑化法の改正(下) 旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長 大木祐悟 敷地売却制度の要件緩和

住宅新報 2020年7月7日 号 5面

  • 大木祐悟氏

    1 / 2大木祐悟氏

  • 外壁が剝落して周辺に危害が生じるおそれがある場合も敷地売却決議の対象に(写真はイメージ)

    2 / 2外壁が剝落して周辺に危害が生じるおそれがある場合も敷地売却決議の対象に(写真はイメージ)

 マンション建替え等の円滑化に関する法律(円滑化法)の改正事項は「除却の必要性に係る認定対象の拡充」と「団地における敷地分割制度の創設」です。本稿では、前者について説明します。14年の円滑化法の改正により、耐震性に問題があることから特定行政庁が「除却の必要性がある」と認めたマンションについてマンション敷地売却をするための手続きと、それらを建て替える場合におけるマンション建替え型容積緩和の仕組みが誕生しました。

 ところで、これまでは、建て替えや売却が必要なマンションストックのほとんどは旧耐震構造でもありましたが、新耐震基準のマンションでも築40年近いストックが出始めている中で、近年、マンション敷地売却について耐震性以外の要件が必要ではないかという意見も強くなっていました。現実に、今年2月の社会資本整備審議会のマンション政策小委員会のとりまとめにおいても「管理の適切性の評価・適切な修繕の促進」「住宅団地における敷地分割の円滑化」と共に「建替えの円滑化の促進・敷地売却事業の対象の拡充」が提案されていました。

 さて、今回の改正法の概要ですが、耐震性に問題があるマンションに加えて、火災に対する安全性について国が定める基準に適合していないと認められるマンションや、外壁などが剝落することにより周辺に危害を生じるおそれがあるものとして国が定める基準に該当すると認められるマンションを「特定要除却認定マンション」と定義し、マンション敷地売却決議の対象に加えます。余剰容積率のないマンションを建て替えるときは費用負担が高額化するほか、建て替えには二度の引っ越しと仮住まいが必要であることを考えると、今後はマンションの終活の主流は「建て替え」から「マンション敷地売却」に進む可能性が高いと考えられます。そうした中で、この法改正は、高経年マンションの今後を考える上で高く評価すべきものといえるでしょう。

 次に、給排水設備の損傷や腐食などにより、衛生上著しく有害となるおそれがあるとして国が定める基準に該当するマンションや、バリアフリーについて国が定める基準に適合していないと認められるマンションも「除却の必要性のあるマンション」となり、マンション建替え型容積緩和の対象となります。

 なお、改正法は、公布の日から2年を超えない範囲で政令の定める日から施行されることとなりますので、この間に省令で具体的な基準を含めた細目も定められることになります。そのため、改正法をより実態に適した内容にするためには、私たち実務者は現場で困っていること等も含め、立法者に情報を伝える努力をすべきです。

 おおき・ゆうご=83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。現在は、旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長、定期借地権推進協議会運営委員長、NPO都市住宅とまちづくり研究会理事ほか。日本不動産学会会員、都市住宅学会会員。借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題、生産緑地問題等を中心とした不動産有効活用と、マンション管理、マンション再生問題、被災マンションの復興問題等の講演や論説多数。

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