明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第339回 鉄製手すりのマンション こだわったデザインだが課題も
住宅新報 2020年6月23日 号 4面
【学生の目】
だんだんと暑くなってきたことに加え、梅雨に入って雨の日が多い。コロナウイルス感染予防で外出を控え気味だったが、天気のせいで在宅が更に増えそうだ。そんな中、晴れの日に出掛けると一つのマンションが気になった(写真)。
なぜ気になったかと考え、建物の壁面がよく見えるからだと気付いた。ベランダの手すり壁が視界を遮り、特に上階は建物の外壁が見えないことが多い。しかし、この建物の手すりは寸法の小さい鉄製の竪格子で、視界を妨げない。このため、上階まで建物の外形がほぼ全面的に見える。
よく見ると、細部にこだわったデザインが施されている。ベランダの床は、片持ち版のコンクリートスラブで、それが真っすぐ横に伸びて外観のアクセントになっている。見たところ新築後の経過年数は相応にあるが、スラブは変形せずに一直線が保たれ、設計、施工、維持管理がしっかりしていると感じる。スラブ先端を細かく見ると、4つの面で構成されている。特に大きめの後退部分がつくる影が先端の見え方を引き締め、横の伸びやかさを強調している。コストを考えれば少しでも単純に造りたいところだが、こだわって造った細部が古い建物を新しく見せている。
横の伸びやかさは手すりの上下に使われている大きめの手すり子も影響する。竪格子が小さいこともあり、離れた部分は宙に浮いて見える。通常の建物では感じない軽やかさだ。
竪格子は下から3分の1程度のところで大きく外に突出する特殊な形で、手すり子よりも上まで伸びているなど、特注品と思われる。外部からの防犯に効果がありそうで、内部からは、鉢植えを置いたとき、枝が張る部分が外に広く、植物にやさしい。丁寧に造り、管理している年代物のマンションだが、気になる点もある。まず、あまりの見通しのよさに、部屋の中が丸見えで、プライバシーを守ることに不安を感じる。ヨシズを吊るす部屋もあるが、住む側の工夫が必要になる。
次に、接道面全体を出入りに使う駐車場だ。景観面、安全面に課題があり、丁寧な建物と比べて残念だ。そして、エントランスの造りだ。見通しのきかないエントランスが道路境界線まで突出している。玄関を強調する効果はあるが、車の接近を予知できず安全面の課題がある。プライバシー、安全、景観をうまく改善するよう、駐車場をアレンジして中高木を植えるなどしてはどうだろう。
【教員のコメント】
賃貸住宅の管理業務等の適正化法が成立した。アセットマネジメントやプロパティマネジメントを背景に品質向上が顕著な機関投資家の新規供給に伍すために、伝統的な賃貸住宅のマネジメントには競争力を高める追加投資の視点が求められる。























