不動産現場での意外な誤解 売買編138 所有権放棄制度の対象となり得る土地は?
住宅新報 2020年6月2日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回までで、所有者不明土地における土地活用の重要ポイントは、公共事業と地域福利増進事業だと分かりました。
A そのために、特措法が土地収用の手続を合理化し、補償金についての従来の収用委員会裁定を知事裁定に改め(同法27条)地域福利増進事業については、知事裁定で10年間の土地使用権を設定できるようにしたわけです(同法13条(3))。
しかし問題は、その事業を行うための前提となる土地所有者が分からないのでは交渉のしようがないということです。以前に紹介したさいたま市内の土地のように相続人の一部が分かっている所有者不明土地(特措法2条)については、民法952条の相続財産管理人制度等を活用し(特措法38条)、法が定める方法で不明になっている相続人を探索し、それでも相続人の全員が判明しない場合には、裁判所の審判で確定した相続人との間で遺産の分割協議や分割調停を行えばよいのではないかと思います。
そうすれば、その判明した相続人を中心に公共事業の土地収用に応じる協議をすることもできるでしょうし、地域福利増進事業について、ディベロッパーなどとの間で土地の売買契約が成立し、その代金を分割する等の協議をすることもできるようになると思います。
Q 相続人が全く分からない場合は、土地の所有権はどうなるのでしょうか。
A 最終的には国庫に帰属することになりますが、それまでの過程で判明した相続債権者や受遺者、特別縁故者などがあれば、それらに対する配当弁済や財産分与などが行われ、その残余財産が国庫に帰属することになります(民法958条、959条)。
Q 法制化が予定されている所有権放棄制度については、どのような土地が対象になると思われますか。
A これは、単に管理が不十分というよりは、それを管理していくことが人的にも経済的にも大きな負担になっている土地が対象になると考えられますので、当面は、後継者がいない放置山林や原野、ため池などを含む農用地、あるいは廃村同然になっている放棄土地、離島における土地などが対象になってくるのではないかと思います。
以上のような、管理したくても管理できない土地が対象になると思います。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























