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スタンダード会員限定ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 118 日本不動産仲裁機構 決め手となるインスペクション

住宅新報 2020年5月19日 号 8面

連載: ADRの現場から

資格・実務

 現在、日本では社会問題化している空き家問題対策の一環という位置づけにおいても、国策として中古住宅流通の活性化に取り組んでおり、今後この流通量は増加していくものと考えられます。しかし、欧米と比較して中古住宅流通量はまだまだ少なく、中古住宅流通のリテラシーは十分に醸成されているとはいえず、マイホーム売買では少なからずトラブルが発生しています。

 そこで、トラブルをできるだけ未然に防ぐために制度化されたのが「中古住宅取引の際のホームインスペクション(住宅診断)の説明義務化(18年4月施行)」です。今回紹介するのは、インスペクションの専門家であり、調停人候補者であるO不動産会社代表のトラブル解決事例です。

 東京都内の築20年の戸建て住宅を一般の売主から購入したA氏。購入から半年後、ベランダ表面部分に劣化が見られたため、防水のリフォームを業者に依頼したところ、ベランダ内部の腐食を指摘されました。仲介をした不動産会社B社と売主C氏にこの旨を伝えましたが、取り合ってくれません。そこで、A氏はO社に相談し、B社及びC氏を被申立人とするADRによってこのトラブルを解決することを選択しました。

 A氏の希望は、ベランダの修繕費用の約100万円について、瑕疵担保責任(20年4月施行の改正民法により<契約不適合責任>と名称変更)を理由として、B社もしくはC氏に負担してもらうこと。一方、B社及びC氏は、そもそも現状有姿での引き渡し契約のため、瑕疵担保責任は負わないという認識を持っていました。そして、話し合いが平行線をたどる中で、A氏がO社にインスペクションをしてほしい旨の申出をしたため、A氏、B社、C氏の立ち会いのもとホームインスペクションが行われました。

 診断の結果、ベランダの腐食状態が極めて悪いと共にその危険性も認められました。そして三者が共にその早期の解決の必要性を認識するようになり、修繕業者の選定や負担割合に関する話し合いを続けていき、ついに、A氏が2割、B社とC氏が4割ずつの費用を負担するという内容で和解となりました。

 O社の解決事例をもう一つ紹介します。静岡県で新築戸建て住宅を購入したD夫妻は、購入後3カ月目に震度5の地震を経験した際に、住まいが驚くほど揺れた印象を持ちました。住み始めたばかりの物件ということもあり、施工業者(売主)に対し、万が一の工事ミスの可能性を聞いてみたところ、施工業者は「そのようなことはない」と言うばかり。

 相談を受けたO社はホームインスペクションを実施し、これによって「法律上必要とされる工法と指定の部材が使用されていなかった」ことが判明。A夫妻が診断結果とO社がアドバイスをした是正工事の方策を施工業者に伝えると、謝罪と共に「修理にかかる費用と仮住まいの代金を全額負担する」という返答があったため、このトラブルは収まりました。

 ●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013

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