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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 287 パニックルーム 在宅の多い今こそ注目

住宅新報 2020年5月12日 号 8面

連載: 知って得する建物の豆知識

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車庫一体型の備蓄庫

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 米国の富裕層は「パニックルーム(セーフルーム)」を持つのが流行しており、何らかの危機が起きても「避難室・隠れ部屋」で安全を確保するようになっています。英国でも同様で、ロシアや中東から移住した富裕層を中心に、パニックルームを手がける業者は大忙しとか。富裕層は規模を小さくした住宅のようなパニックルームを希望するのが特徴で、防弾・防爆・気密はもとより大型テレビや高級インテリア、プール、バーなどを完備した贅沢な仕様が採用されます。これを支えるために自家発電装置や酸素供給装置、空気浄化装置、CCTVなども装備しています。一物件あたり、ベーシック仕様で約6000万円~ですが、数億円かけるケースも多数あるようです。

 一昔前のアメリカ映画にジュディー・フォスター主演の「パニックルーム」(2002年)という映画がありました。パニックルームの装備された豪邸に三人組の強盗が侵入し、母娘がパニックルームに逃げ込んで防戦するという映画です。ただ、パニックルームの防御設定(仕様)が甘々で、見ていて「まさか!」というシーンが連続するB級映画でした。しかし、今から約20年前の時点では「パニックルーム」が映画タイトルになるほど新しい話題だったのと、装備は非常にプリミティブだったことが見て取れます。その後、911や爆弾テロ、銃による無差別殺人の頻発を経て、現在では非常に高度な仕様になっています。

 自動小銃や爆弾などを使ったヘビーな犯罪の多いアメリカとは違い、日本では主に災害と、今回のような在宅避難に対応した仕様で考えることが現実的です。そして、ポイントはエネルギーと食糧です。

 パニックルームの根幹を支える、電気エネルギーについてはバッテリーに電気を備蓄するのが最もスマートです。大手家電量販店では家庭用コンセントから充電できるポータブルタイプのリチウム蓄電池を販売しており、電池容量1000Whのもので90万円程度です。充電時間約3時間で、500Whの出力が可能です。これは大型の電気冷蔵庫を約5時間運転できるレベルです。

 また、プラグインハイブリッド車(PHV)を使って家庭に電力を供給するシステムも実用化されています。HEMSやリチウムイオン蓄電池と組み合わせて、PHVに蓄えられた電力を家庭に供給するシステムです。車のエンジンを発電機として利用すれば、かなり長期間安定した電源が確保できます。もっと手軽に電源を確保するには家庭用自家発電機を利用します。一番ポピュラーなのが、ガソリンを燃料としたポータブルな発電機です。スマホやPC、携帯テレビの充電や視聴が可能です。ただし、運転音が比較的大きく排気ガスも出るので、マンションのベランダなどでは使用しにくく、ガソリンとオイルに関するメンテナンスも面倒です。卓上コンロで使う小型カセットボンベを燃料にしたものもあります。ボンベを複数本装填し、900ワットで1~2時間程度の運転が可能です。価格は10万円前後、保管やメンテナンスは容易です。

 エネルギーと共に食料や水も確保する必要があります。大人1人が1日に必要とする水分摂取量は体重1キロ当たり50ミリリットル、子供はその倍近くが必要です。大人2人と子供2人の家庭では、おおざっぱな計算ですが、1日におよそ 9~10リットル程度必要です。一週間分なら70リットルになり、20リットル入りのポリタンクが4つ近くという計算になります。食料の備蓄に関しては農水省が出している「新型インフルエンザ に備えた家庭用食糧品備蓄ガイド」が参考になります。

  (建築家・中村義平二)

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