ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 110 日本不動産仲裁機構 情報格差が開きやすい住宅建築
住宅新報 2020年3月24日 号 20面
連載: ADRの現場から
住宅建築は、多くの人にとって人生の一大事であり、一大決心をするものであり、最も高い買い物であり、絶対に後悔をしたくないものです。しかしながら、実際には住宅建築においても、消費者トラブルは発生しています。
トラブルの多くは消費者と事業者間で発生するものであり、その大きな理由の一つとして、住宅建築は不動産や建築、さらには住宅ローンなど、複数の専門知識が必要な分野が組み合わさっており、一般の消費者にとって非常に複雑で分かりづらいということが挙げられます。分かりづらいということは「判断しづらい」ということであり、ここがトラブルの最大の原因であると考えられます。
多くの消費者は、住宅建築の際、工務店やハウスメーカーの担当者に希望条件などを伝えた後、まずは「お任せ」でプランを提示してもらいます。そしてその後は目で見てわかる、触って分かるような客観的な価値(設備の機能や構造の性能)を重視し、その住宅を建築するかを決めるという流れを踏んでいます。つまり、専門知識を有している専門業者と何も知らない消費者との間で知識や情報の格差があるために、建築した後に消費者が「こんなはずではなかった」と思ってしまうようなトラブルが発生するケースがあるのです。
もちろん、多くの事業者はコンプライアンスを順守しており、消費者に対して真摯に向き合っているため、住宅建築に関して多くのことを丁寧に説明し、消費者からの理解と信頼を得ているため、トラブルを起こしてしまうことはありません。しかし、業務レベルが十分でなかったり、消費者満足よりも自社利益を優先してしまうような事業者では、「任せておけば大丈夫」として説明が不足しているために、消費者が「本当にこの内容で建築が可能なのか」「見積りは妥当なのか」というような疑問を抱いてしまうこともあるのです。
「完成後のイメージが思っていたものと違う」というトラブルもあります。事業者は、事前に設計図やサンプル等でできる限りの説明をしていると思いますが、消費者に完全にイメージが伝わっていないということもあります。説明不足な事業者では、なおさらイメージは伝わりにくいものです。「建築内容の詳細は分からないのでイメージで選んだのに、出来上がってみればイメージと違う」ということは、トラブルに直結しやすいことですので、注意が必要です。
これを防ぐためには懇切丁寧な説明は当然のこと、「ショールームで内装・外装のサンプルを一緒に見る」「3Dソフトで完成後のイメージを立体化させて提示する」というようなことが考えられます。加えて、消費者満足を第一と考えるマインドです。これがあれば、自然にその行動は消費者の不安や不明点を解決する方向に向くはずです。
●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
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