明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第314回 スキップフロアの住宅 立面の整えにもう一工夫を
住宅新報 2019年12月24日 号 4面
【学生の目】
吉祥寺のお洒落な雰囲気の住宅街で、目を引く1軒の建物を見つけた。道路に妻側を見せた〝ファサード建築〟で外観がとてもにぎやかだ。特徴はまず、壁面から突出した部分が多い。屋根のほかに出窓が3カ所、三角形の玄関の庇、駐車場の庇、更に出窓の庇がある。いずれも手間暇かけて造られ、重厚感がある。次に、開口部の並びが一律でない。一般の住宅は各階の窓が同じ高さにあり、窓の位置で2階建てか3階建てか見分けるが、写真の住宅は窓の高さが不規則だ。どのような設計なのだろうか。
敷地は第一種低層住居専用地域にあり、北側斜線制限に加えて第一種高度地区の制限がかかる。東京都の第一種高度地区は、立ち上がりが5メートルで勾配が0.6だから、建て方によっては2階から影響を受ける。この住宅は、建物の高さが制約される中で、車庫を建物内に組み込みつつ、建蔽率や容積率の制限を最大限に利用することを意図して造られ、それがスキップフロアを採用することにつながったと考える。
スキップフロアとは、床の一部に高低差を設け、数段の階段等でつなげる設計方法で、リビングより少し高いところにダイニングを造って空間に変化をつけるなどの例がある。高さの変化を大きくして、中2階や中3階のようにすることもある。
スキップフロアのメリットは、有効面積を増やすことができる、視覚的に広く見える、収納スペースを確保できる、上下階からアクセスしやすいなどである。
写真の住宅は、駐車場を地盤面の高さに配置してなるだけ天井高を抑え、その上を中2階の部屋にしている。スキップフロアの手法を用い、高度地区の制限内で中2階と中3階を持つ住宅を建てて敷地の有効活用を実現している。
出窓もこの住宅のポイントだ。出窓は、屋内から見ると部屋に広がりを持たせる効果があり、屋外から見ると立面を豪華にする効果がある。その出窓が中2階、2階、中3階に設置されている。
一方で、複雑な間取りがそのまま反映されている立面は、窓や庇のそれぞれに重厚感があるために、かえって窮屈にも見えてしまう。突出した部分が不規則に並ぶ立面をもう少し整理することができないだろうか。例えば、強いインパクトのある玄関屋根の高さでペンキを塗り分け、立面を上下に2分することで軽快感を加えるなどが考えられる。
【教員のコメント】
竣工後に屋外駐車場に屋根を付けると建蔽率違反になる可能性がある。ビルトインガレージの住宅は法的、景観的に安定感がある半面、間取りや立面の整え方が難しくなる。住み手の感性に応じて手軽に手を加えられる余地を残しておきたい。























