ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 96 日本不動産仲裁機構 マイホーム建築に関する解決事例
住宅新報 2019年12月10日 号 8面
連載: ADRの現場から
お客様にとってマイホーム建築は、不動産や建築など実に様々な分野が絡み合い、そのプロセスは非常に複雑なものです。だからこそ、十分に理解しないままに建築を依頼してしまったため、後に「こんなはずではなかった」というようなトラブルが発生するケースがあります。
また、手抜き工事や施工不良、さらにマイホーム建築を担当した営業社員がトラブルの原因となるケースもあります。それは、営業社員が自社の利益を優先するあまり、お客様の暮らしを第一に考えた提案ができなかったり、物件の悪い部分をお客様に説明をしなかったりすることがあるからです。
まずは、お客様の知識不足が原因となったトラブル事例を紹介します。「予定期日までに工事が終わらなかったため引っ越すことができず、予定外の賃料がかかってしまったのでこれを事業者側で負担してほしい」と主張した施主A氏と、それに応じない事業者の間でトラブルが発生しました。A氏と事業者との話し合いでは、遅延の原因として「施主からの度重なる変更指示」があったことが分かりました。そして、A氏は変更指示によって工期遅延が発生するという認識をしていませんでした。このトラブルの原因はA氏にありますが、しっかりと変更に伴う遅延を伝えておかなかった事業者にもあるといえるでしょう。結果としては、A氏と事業者が互いに非を認め、A氏の予定外の賃料を折半して負担することになりました。
次に、営業社員が原因となったトラブル事例を紹介します。マイホームを建築しようとしていた施主B氏は、担当の営業社員から建築内容やローンの組み方等について熱心な説明を受けました。契約直前まで話を進めたのですが、A氏には気になることがありました。それは、購入しようとしている土地が通りに面しており、車の騒音等によってぐっすりと眠れないのでは、ということです。B氏がこの点を営業社員に質問をすると、返ってきた返答は「夜は車の往来が減り、騒音はない」というものでした。
しかし、B氏が物件の確認のため夜間に出かけたところ、車の通行量は減っておらず、騒がしいままでした。このことに怒ったB氏は営業社員にクレームを入れ、トラブルとなりました。
B氏はこのトラブルについて、第三者である建築の専門家C氏に相談し、C氏が改めて建築内容やローンの組み方などを精査したところ、建築見積もりには不必要な高価な建材が使用されていたり、ローン返済計画にも無理があったことが分かりました。営業社員は物件を売りたいあまり、B氏の暮らしを第一に考えることをおろそかにしていたのです。このことが判明したため、B氏は契約をしませんでした。
●法務大臣認証ADR機関 一般社団法人日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
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