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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第309回 景色になった木のベンチ 場所を楽しむための空間に

マンション・開発・経営
  • 小池 怜 不動産学部3年

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  • 温かみのある木製ベンチ

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 【学生の目】

 JR飯田橋駅を降りて南に少し歩くと3、4階建てのマンションや高層マンション、飲食店、事務所や学校が点在する個性的な地域が広がる。皇居の北側にあたる飯田橋地区は、中でも幼稚園や小学校、高校、大学等の教育施設が充実しており、教育によって国力を高めようとした時代を感じることができる。落ち着いた街並みが印象的で、東京大神宮には多くの観光客もいる。静かに休日の散策を楽しむことができるエリアだ。

 飯田橋地区を歩いている最中に、歩道沿いに設置してある木製のベンチを見つけた(写真)。街を歩いて感じることは、無償で休憩できるベンチが少ないことだ。コンビニエンスストアや飲食店で、購入した物を食べるためにベンチを利用することはできる。しかし、ベンチの利用は飲食や休憩などの明確な目的だけではない。街を歩いているとき、その場所を楽しむために、しばらくとどまっていたいと感じることがよくある。休憩というよりは、その場所を楽しむためのベンチだ。

 写真のベンチに着目する理由は第1に、横にデザイン性の良いプランターボックスが設置されていてリズム感がある。第2に、歩道より少し下がって設置され、休憩中でも足が歩道に出ることがない。歩道を通行する歩行者や自転車と共存できる造りになっている。第3に、横に植栽があるために、ベンチに座っている人の顔が見えにくく、気を使わずに休憩できる。第4に、ベンチを設置する場所を建物の所有者が提供している。第5に、暖色のタイルを張った背面の建物外壁がベンチを引き立てている。

 道路を挟んだ住宅は趣のある建物で、植栽も見事だ。ベンチはその住宅を眺める場所であると同時に、周囲の緑と共に前の住宅と溶け込んで一体化している。景観を楽しみ、かつ、それ自体も景色の一部にしている設計は非常に優れている。

 高齢化が進む日本で高齢者が健康に過ごすために、外に出て歩きたくなるような街づくりが大切になる。高齢者が気軽に、楽しく、安心して散歩に出かけるための仕組みとして、写真のような空間を増やしていきたいものだ。木製ベンチは温かい雰囲気がある一方で劣化が早く、周囲の植栽はせん定も必要となり、土地には固定資産税が課税される。維持管理の費用について配慮するなどに工夫して、このような施設をみんなで創り出す方法を考えたい。

 【教員のコメント】

 都市の魅力は、様々なヒトやモノが織りなす風景を鑑賞して楽しむ主体であると同時に、自身も魅力ある風景の一部として鑑賞される客体でもある、主客併存にある。都市の魅力を享受し増幅する場所と機会に恵まれることが住みがいにつながる。

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