賃貸市況を読む 東京カンテイ・井出武氏 投資マネーに停滞感
住宅新報 2019年11月12日 号 6面
分譲マンション賃料を見ると、投資家の狙いが見えてくる。分譲で購入したものが竣工後すぐに貸しに出ているのは、投資マネーが動いているからだ。タワーマンションのように、相当数がまとめて賃貸に出てくることもあり、必ずしも景況感とリンクしない動き方をするのが特徴だ。
分譲マンションの募集賃料は、これまでに16年までと18年10月以降に上昇した。前者は幅広い範囲に投資先が及んだが、後者では千代田・港・渋谷の3区が強くけん引。投資マネーの流入先が限定的となり、同様の上昇は大都市の〝中区〟でのみ見られた。
ところが、19 年に入り、高額賃料が出る都心に勢いがない。利回りの低下などを背景にけん引してきた3区はピーク時から落ち、投資家の様子見が続く。世界情勢の不透明感も影響し、投資マネーは停滞感があると見るべきだ。
希望の光と見るのは城東7区(台東・墨田・江東・荒川・足立・葛飾・江戸川)。新築分譲の建設立地として選ばれているエリアだ。募集賃料の上昇と事例数の増加が見られ、実需、投資共に注目を集めている。物件を安く購入できるため、低金利ながら相応の利回りを追求できると見ているのだろう。ただ、最近の自然災害などを踏まえ、今後災害リスクなどを重視する向きがあるなら、投資先が都心に戻ってくると見る。
仲介会社が今後成約を取るには何をすべきか。リノベーションなどにより物件の付加価値を高めることは賃料水準の維持・上昇に不可欠。加えて、改良した物件を認知させるための発信力も必要だ。
今後のキーワードとして挙げたいのが、「非通勤居住ニーズ」。働き方改革に伴うフリーアドレスなどの整備により、通勤ではない〝働く場所〟を提供できるエリアとなれるかどうかで、都市の集客力に差がつく。街の活気はアクセスの良さや若い人の集客とかかわる。山手線の拠点駅や郊外都市の駅前などにはあるが、特急停車駅や路線が交差するクロスポイントなどにチャンスがあるのではないか。

























