ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 91 日本不動産仲裁機構 空き家トラブルとADRの可能性
住宅新報 2019年11月5日 号 9面
連載: ADRの現場から
総務省が発表した18年10月時点の「住宅・土地統計調査」によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.6%でした。これは約8件に1件が空き家であるということを示しています。なお、戸数にすると、地方を中心に人口減少などで空き家が増え、これも最多の846万戸となりました。
適切に管理していない建物や土地が引き起こす問題には、(1)放火、(2)ゴミの不法投棄、(3)不審者の侵入・住みつき、(4)地震や突風による家の倒壊、(5)景観の悪化――などがあります。放火は空き家の周辺住民が最も不安視する問題の一つであり、敷地内にゴミが散乱したり雑草が繁茂していたりすると、あっという間に火が広がり、大火災へと拡大する恐れもあります。
また、人の出入りがないと判断された空き家に、ゴミが不法投棄されているケースがよくあります。空き缶や古雑誌をはじめとした生活ゴミだけではなく、家電製品や家具、自転車、布団などを投げ捨てていく悪質なケースも珍しくありません。更に、空き家の所有者が不在と判断されると、不法侵入者による侵入や盗難の被害を受けやすくなってしまいます。
近年では、最も危惧されているのが災害による家の倒壊でしょう。空き家は、適切な管理がなされないため、一般の住宅よりも早く老朽化が進んでいきます。そのために、大きな地震や突風により、外壁の一部が剥がれてしまったり、アンテナ類が倒れて落下したりする危険性も高まってくるのです。
景観の悪化については、「まち並みの風景に与える悪影響」ということのみならず、不法投棄されたゴミによる悪臭や、地域全体のイメージ悪化という問題も挙げることができます。
可能性に対する不安 空き家に関する近隣トラブルは、ここで紹介したように、「何らかの問題が発生した後のトラブル化」だけではありません。例えば、近隣住民が感じる「災害があったら隣の空き家が倒壊してしまうのではないか」などの「可能性に対する不安感」も十分にトラブルになり得るのです。
そして、そのような場合のトラブル解決に適しているのがADRといえるのではないでしょうか。空き家の存在による具体的な損害を立証することは難しく、問題解決に時間がかかってしまうかもしれませんが、「実際には具体的な損害は受けていないが、不安だからなんとかしてほしい」というような近隣住民の思いを所有者に伝え、理解してもらうことは、そう時間を要することではないかもしれません。
●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013
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