紙上ブログ 不動産屋の独り言 524 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 人柄のいい人は得をする 更新契約で賃料値下げ
住宅新報 2019年10月22日 号 6面
更新契約で来店した女性の話。そのアパートは201号室が1年以上空いていて、その女性が住むのは203号室。共に角部屋だが、203号室が一番いい部屋。窓を開けたときの開放感と、公園が見える景色はこの部屋だけだ。ところが、その女性は「201号室が空いているなら移りたい」と言う。
ネットで調べて
というのも、「201号室は長く空いているけれど、いくらで募集しているか」と思いネットで調べると、203号室より5000円も安いと知り、それなら移ったほうがいいと思ったようだ。そこで、「移らないほうがいいです。201号室は道路に面しているので夜中でも車の音が聞こえますし、眺めもよくありません。同じ角部屋で201号室が安いのは他にも理由があります。普段ならきれいにリフォームして募集するのですが、今回は家主さんの希望で最低限度のクリーニングしかしていません。リフォームに掛かる初期費用を抑えているので、それで5000円安くなっています」と説明すると納得してくれた。
普通ならそれで更新契約を済ませるところだが、それだと不満は消えないと思う。そこで、「一応家主さんに交渉してみますね」と言うと、「いいえ、大丈夫ですから」と辞退する。私は「201号室の家賃を気付かれていなければ知らん顔して契約を済ませるんですけれどね」と本音を言うと、「そりゃあ、そうですよね」と笑う。そこで嫌な顔をしないのがお人柄だ。
家主に相談
家主に連絡した際、「募集中の201号室の家賃を見られている」とは言わなかった。そんなことを言えば「あんたが早く決めないからだろ」と言われかねないし、値下げ交渉をする場合は家主に恩を売らせるのが最善だからだ。「最近は給料も減って大変みたいです。『でもアパートは気に入っているので、少しでも値下げしてくれたらそのまま住み続けられるのですが』と言っています。どうしましょうか」と話した。それで3000円下げてもらい、これで201号室と比べて公平になる。
その女性も喜んでくれたが、家主に「『助かります』と喜んで、『家主さんにくれぐれもよろしく』とおっしゃっていました」と電話すると満足そうだった。その女性はこうした人柄だから、得しない訳がない。
(坂口有吉不動産・社長)























