紙上ブログ 不動産屋の独り言 523 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 人権研修に物申す(3) 誰が責任を取るのか
住宅新報 2019年10月15日 号 6面
八王子での研修の講師は東京都整備局の課長だった。言わずと知れた「我々に業務停止や免許取り消しの処分を下す権限」を持っている役所である。だから恐れをなして、というのではなく、反論するのも馬鹿らしく思えたのと、みんな「おかしい」と思っているであろうに、誰も声を上げないのだから私が皆の思いを代弁してやることもないか、と思って帰ってきた。
自分では何も言わないくせに、ハッキリ意見を言う私を陰で非難する同業者もいる。中には、最初の人権研修の後で私の店に電話してきて、「あなたの言っていることはもっともだ」と言った業者がいた。激励しているつもりかもしれないが、自分もそう思うのなら研修時に拍手するなり、同意の声を上げるなりすればよさそうなものだ。
特定を避けるため
帰社して、再び協会に電話して研修担当の責任者に「なんで現実が分かっていない研修を受けさせるのか」と抗議したら、こんな言葉が返ってきた。「実は定期的にその内容で研修せざるを得ない事情があるのです。内容が現実に即していない部分があるのはおっしゃるとおりですが、ご理解頂けないでしょうか」とのこと。
その後、事情に明るい同業者から、「外国人の全部に網を掛けて『国籍を聞かないように』と言っていますが、実は特定の国の人を差別しないようにさせるのが目的で、『特定の国を差別しない』とは言えなくて、『すべての外国人の国籍を聞かない』と言っているのですよ」とのこと。なるほど、それなら大いに納得がいく。
気遣いとは
度々の研修を行い、どうしてそこまで特定の国に気を使う必要があるのか理解不能である。家主さんから嫌われる特定の国には断られるだけの理由があるのだろう。
「いいや、それはならん」と言うなら、何かあったら誰が責任を取るのかという話。それにしても、「国籍を聞くと差別につながる恐れがある」と言うが、例えば研修の講師は車の運転をしないのだろうか。「運転をすると重大な事故を起こす危険性があるから運転すべきでない」と言われて納得して免許を返上するのだろうか。それなら言うことを聞いてもよいのだが。
(坂口有吉不動産・社長)























