明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第300回 レンガタイルの戸建て住宅 力強いデザインにぬくもりを
住宅新報 2019年9月17日 号 4面
【学生の目】
浦安市の特徴は老若男女問わず安心して住めることだ。例えば、大小様々な公園が充実していることに加えて、海沿い、川沿い、旧堤防沿いや送電線下に線形に延びる緑がある。登下校の安全や歩車分離された空間で散歩できる。
そんな浦安市の川に近い住宅街で、写真の戸建て住宅が目を引いた。その住宅は外壁一面、レンガタイルを貼っている。
レンガ造りで日本を代表する建物として、東京駅、横浜赤レンガ倉庫、富岡製糸場が思い浮ぶ。もっとも、レンガ造りといっても、組積造のレンガ造りは耐震性の確保や大規模建築物に不向きなため、レンガに構造耐力を持たせるのではなく、軸組み構造としての木造や鉄骨造の壁材や壁仕上げ材にレンガを積むものが主流だ。
日本で組積造のレンガ造りを見ることは少ないが、レンガタイルで外壁を仕上げ、レンガがもつ、自然の素材感、手造り感、ぬくもり感や耐久性をもたせようとする建物は時々見かける。
写真の住宅が目を引いた第1の理由は、タイルごとに色合いの変化が大きいことだ。レンガタイルを貼った建物は、落ち着いた雰囲気のことが多いが、この建物は華やかだ。
第2は、急勾配の屋根の妻側の、とがった、強い感じだ。コロニアル葺きの屋根は緩勾配が多いことと対照的だ。第3は、エントランスポーチだ。まず、全体の〝親〟屋根と同じ勾配の〝子〟屋根をつけてリズム感を出している。次に、三角形の部分をペンキとして〝親〟屋根と変化をつけている。更に、ペンキ部分にある換気口を模した装飾が個性的だ。そして、〝子〟屋根を支える2本の太い柱だ。結果として、堂々とした玄関となっている。
第4は、〝親〟屋根の特徴的な形だ。切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせ、入母屋のような形にしている。
第5は、ベランダの手すり壁を外壁面から少し前に出して、奥行き感を出す工夫だ。
第6は、玄関に至る力強い階段だ。川に近い、周囲の住宅の地盤面に合わせるなどの理由から、この住宅の地盤面が前面道路より高いために必要だが、敷地や建物と比較して大きな階段が真っ直ぐ付いている。
形状や材料など、デザイン的な強さが特徴的な住宅だが、レンガ造りがもつ温かさを生かしきれていない印象がある。人が住み続ける中で、ぬくもりと調和が付け加えられると、更に素敵な住宅になると感じる。
【教員のコメント】
玄関に上がる大きな階段と小ぶりな車が対比的だ。建て主が意図的に実現した空間と信じるが、リセールバリューは制約されよう。完成後初めて気付く〝後の祭り〟をバーチャル・リアリティで防ぎ、性能と価値を保つ住宅設計の実用が待たれる。























