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スタンダード会員限定ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 82 シックハウス診断士(6) 近年普及してきたDIY賃貸

住宅新報 2019年9月3日 号 8面

連載: ADRの現場から

資格・実務
神田紀男代表

神田紀男代表

 最近、人気の高まりを見せている「DIY賃貸物件」。これは賃貸物件でありながら、入居者がDIY(自分自身による物件改修や簡易リノベーション)をすることのできる物件を指します。通常では、当然のことながら、入居中に壁を自分好みに塗ったり飾り棚を付けたり等、様々なDIYを行っても、退去の際には元通りに原状回復をしなければなりません。しかし、DIY賃貸物件では退去時に原状回復義務を負わなくてよいなど、入居者がDIYを楽しむことができるように配慮がされています。

 今後も更なる普及と一般化が想定されるDIY賃貸ですが、これに関するトラブルも想定されます。例えば、「入居者が手を加えてよい範囲はどこまでなのか」、「どのラインから原状回復の責任範疇となるのか」などをしっかりと契約時に決めておかなければ、退去時にトラブルとなってしまう可能性があります。また、DIY工事に伴う騒音や粉じん等が隣人トラブルに発展することも考えられるでしょう。

 ここでは、DIYが関わるシックハウストラブルを紹介します。DIY賃貸に住むメリットの一つとして「前の入居者がつくり上げた個性的な部屋にそのまま住める」ということがありますが、DIY賃貸物件に引っ越してきたA氏は、以前実施されたDIYにおいて使用された塗料が原因でシックハウス症候群と疑われる症状を発症してしまいました。シックハウスに対する意識が高まり、工務店が実施する工事では、建築基準法において規制されている建材や塗料の使用を控えるなどのシックハウス対策がとられていますが、一般の消費者の行うDIYではまだシックハウスに対する意識は十分でないため、安全でない建材や塗料が使用されてしまっていたのです。

 A氏からの報告を受けた大家であるB氏は、このことを非常に残念に思いました。もともとB氏もDIYが好きで、入居者にも自由にDIYが楽しめる物件を提供しようと思い、DIY賃貸を始めたからです。B氏は、A氏との話し合いで自身の保有する別の物件を格安で貸し出すことを提案し、A氏もこれを了承しました。話し合いによってトラブルは解決しましたが、B氏はこのようなことが起こらないよう、契約時に使用できる建材や塗料を明確に伝えるという対策をとるようになりました。

 入居者が自由に物件を改修できるというのがDIYの売りではありますが、シックハウス対策という観点からみると、B氏のとった対策のように、使用できる建材や塗料に一定の制限を設けておく必要があると考えられます。

 ●「シックハウス診断士」資格実施団体 シックハウス診断士協会 電話03(3524)7127

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