廣田 信子の紙上ブログ No.205 マンション管理応援歌 マンションに困っている人はいない?
住宅新報 2019年8月27日 号 6面

先日、高経年マンションで、年金生活でも負担できる「管理費+修繕積立金」の額は、いくらまでか…ということが話題になりました。
年金生活と言っても、大企業に勤めていて厚生年金も企業年金もしっかりもらえる人と、ほとんど基礎年金のみ(ほぼ国民年金)という人とでは、月々の年金収入が違います。その場の管理組合の役員の方々からは、「うちのマンションの高齢者は、それなりの年金があって、困っていない人ばかりだから」との声が複数上がりました。
確かに、当時のマンションを、ローンを組んで購入できた人は、安定した収入がある大企業や役所勤めの方が多く、退職金などの預金もある人が多いと思います。特に役員を熱心にやっている方には。でも、あえて言わなくても、高齢期の生活設計が厳しい方もいるはずです。知り合いの中にも、早くに会社を辞めて独立したので、厚生年金が少なくて年金はあてにできない。離婚で年金を分割したので暮らしが厳しい。「ひきこもり」の子供を抱えて年金でやっと暮らしている…そう言う方がいます。特に「ひきこもり」は見えにくい分、深刻です。
3月に内閣府は、40~64歳の「ひきこもり」の人が全国で61万人と発表。80歳代の親と50歳代のひきこもりの子供の生活破綻「8050問題」が大きく取り上げられています。
世の中に存在する事象がマンション内にない方が不自然です。マンションの中にも、事情を抱えている人がいるのは当たり前という想像力を、役員の方には持って頂きたいのです。安定した生活が当たり前とされている環境では〝SOS〟が発しにくいのです。私の知り合いも、我が子の「ひきこもり」のことを周りに言っていない…と。周りは気付いても、気付かないふりをするのがマンション暮らしのルール。だから表には出ません。
思い込みは…
でも、ひきこもっている50歳代の人は、あと10年経つと60歳代になって、親亡き後に一人残されることになります。中年から高齢に差し掛かるマンション内の「ひきこもり」の人と高齢の親、親亡き後の子供への対応が、10年後には、マンションでも大きな課題になっている予感がします。うちのマンションには困っている人はいない…という思い込みはやめたいです。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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