廣田 信子の紙上ブログ No.201 マンション管理応援歌 程よい距離の付き合いがなぜいいのか
住宅新報 2019年7月23日 号 6面

コミュニティの人間関係に関して、私は「踏み込み過ぎない程よい距離がいい」と言っています。それに対して、「何か水臭い。いっしょに飲んで親しくなるのがコミュニティでしょう」と思う方もいるようです。
なぜ、適度な距離がいいのかというと…近過ぎる関係は疲れるのです。だからイライラも生じます。事件になるいじめや確執も、元々親しかった間柄が、こじれてエスカレートすることが多いのです。近づき過ぎると、1つでも相手の嫌なところが見えると、あれも不愉快、これも腹が立つと嫌悪感だけが膨らんでしまいます。そこにだけ目がいってしまうのです。距離を置けば背景も含めた相手の全体像が見えるのに、近過ぎるとそれができません。最後は怒りや憎悪の感情にとらわれてしまい、あの人は許せない、あの言葉だけは許すわけにはいかないと繰り返し思い続けます。
身近な人とは、顔を合わせない訳にもいかないので、しこりのように残っている悪感情が、その度、ぶり返してしまいます。それで、いつまでも些細なことにこだわり続けることになるのです。
近過ぎる関係には、どうしても利害感情が生じます。いつも行き来して、お互いの事情を知り合っているような関係は、マンション生活を豊かにする半面、大きな確執につながる可能性もある諸刃の剣です。何かをきっかけに、「なんで、このごろ誘いを断るの?」「なんで、そのことを私には言ってくれなかったの?」「親しくしているのに、なんで、総会で反対意見を言うんだ?」…と不快感がどんどん膨らんでいきます。そう思わなくていい距離をとることが大事だと思うのです。
無理のない関係
でも、適度な距離を置くことは、無関心になることとは違います。距離があった方が、相手のことがよく見えます。「今日は、ちょっと元気がなかったな」「そういえば、この頃姿を見かけないな」ということがあったら、気に掛けている。で、やはり、ちょっとおかしいと思ったら、そっと声掛けをする。いよいよおかしい時は、すぐ行動を起こす。そういう付き合い方が、無理なく安心できるご近所関係だと思うのです。マンションのコミュニティは、人との距離の取り方の訓練の場でもあると改めて思います。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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