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スタンダード会員限定2019 宅地建物取引士受験セミナー (22)

住宅新報 2019年6月18日 号 8面

連載: 2019宅地建物取引士受験セミナー

資格・実務

【問題3-6】

 AがB銀行(以下この問において「B」という。)から継続的に融資を受けることによって生じる債務の担保として、Aの所有地にBの根抵当権を設定し、その設定登記をした。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)Aは、後順位抵当権者その他の第三者の承諾を得なくても、Bとの合意により、元本の確定前に被担保債権の範囲を変更することができる。

(2)Bは、総額が極度額の範囲内であっても、被担保債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年についてのみ、根抵当権を行使することができる。

(3)元本の確定前において、Bから被担保債権の範囲に属する権利を取得したCは、その債権について当該根抵当権を行使することができない。

(4)Bは、元本確定前においては、Aに対する他の債権者の利益のために根抵当権の順位を譲渡することができない。

【問題3-7】

 弁済に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)弁済者は弁済に際して債権者に受取証書を要求し、この交付を受けるまで弁済しないと主張することができる。

(2)元本のほか費用、利息も支払わなければならない場合に、弁済額が債務の全部を消滅させるに足りないときは、当事者の合意があるときは別として、費用、利息、元本の順に充当しなければならない。

(3)AがBに対して不動産を売却した場合、Bの父Cは、たとえ法律上の利害関係を有していなくてもAの同意があれば、Bの意思に反してAにその代金を支払うことができる。

(4)債権に関する証書がある場合において、弁済した者が全部の弁済をしたときは、その証書の返還を請求することができる。

【問題3-8】

 AがBから家屋を賃借し、Bに差し入れている敷金に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例並びに判決文によれば、正しいものはどれか。

(判決文)

 賃貸借存続中に目的不動産の所有権が移転し、新所有者が賃貸人の地位を承継した場合には、旧賃貸人に差し入れた敷金は、未払賃料があればこれに当然充当され、残額があれば、それについての権利義務が新賃貸人に承継される。

(1)Aは特約のない限り、明渡し前に、延滞賃料と敷金返還請求権との相殺を主張することができる。

(2)賃貸借契約が期間満了の際、別段の意思表示がなされなかったために更新された場合、更新後のAの債務不履行について、Bは敷金から差し引くことができない

(3)当該家屋がBからCに譲渡された場合、特約のない限り、Aは、明渡し後Cに対し敷金の返還を求めることができる。

(4)AのBに対する敷金返還請求権がAの債権者Dにより差し押さえられた場合、BはAの未払賃料を敷金から差し引くことができない。

【問題3-9】

 AのBに対する4,000万円の債務について、Cが連帯保証人となっている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)CがBから請求を受けた場合、CはBに対してAのBに対する金銭債権により相殺をもって対抗することができない。

(2)BとCとの間で更改がなされた場合、Aの債務は消滅する。

(3)CのほかにDも当該債務について連帯保証人となった場合に、CがBから4,000万円の請求を受けたときは、CはBに対して、Dに2,000万円を請求するよう求めることができる。

(4)BがCの債務を免除した場合、Aの債務は消滅する。

【問題3-10】

 契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)AB間でB所有の土地について売買契約が締結され、AがBに手付を交付し、その手付は解約手付である旨を約定した場合、Bが履行に着手する前であっても、Aは自ら履行に着手した後は、手付を放棄してAB間の契約を解除することができない。

(2)Aを注文者、Bを請負人とする請負契約において、Bが未だ仕事を完成しない間は、Aは損害を賠償してAB間の契約を解除することができる。

(3)AB間でB所有の土地について売買契約が締結された場合に、Aが当該土地が抵当権の目的となっていることを知っていたときは、当該抵当権の実行によりAが当該土地の所有権を失ったときでも、AはAB間の契約を解除することができない。

(4)AがBに対して建物の建築工事を注文し、Bがこれを完成させた場合に当該建物に瑕疵があり、瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える場合、AはAB間の契約を解除することができる。

【問題3-6】 正 解 (2)

(1)は正しい。

 元本の確定前においては、根抵当権者と設定者の合意により、被担保債権の範囲を変更することができ、このとき、後順位抵当権者その他の第三者の承諾は不要である。民法398条の4第1項・2項。

(2)は誤りで、正解。

 根抵当権においては、あらかじめ極度額が定められており、他の債権者を害する心配がないので利息が2年分を超える場合でも、極度額の範囲内であればすべて担保することができる。同法398条の3第1項。

(3)は正しい。

 元本の確定前の根抵当権は随伴性を有しない。したがって、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。同法398条の7第1項。

(4)は正しい。

 元本の確定前に、根抵当権者は、根抵当権の順位を譲渡することができない。同法398条の11第1項。

【問題3-7】 正 解 (3)

(1)は正しい。

 受取証書の交付と弁済とは、同時履行の関係にある(大判昭16.3.1)。したがって、弁済者は弁済に際して債権者に受取証書を要求し、この交付を受けるまで弁済しないと主張することができる。民法486条。

(2)は正しい。

 債務者が債務につき元本のほか、利息、費用を支払うべき場合に、債務の全部を消滅させるに足りない給付をしたときは、費用、利息、元本の順に充当する。同法491条。

(3)は誤りで、正解。

 法律上の利害関係人でない者は、たとえ親子であっても債務者の意思に反して弁済することはできない(最判昭39.4.21)。なお、法律上の利害関係を有する者とは、物上保証人、担保不動産の第三取得者、後順位抵当権者などである。同法474条2項。

(4)は正しい。

 債権に関する証書がある場合において、弁済した者が全部の弁済をしたときは、その証書の返還を請求することができる。同法487条。

【問題3-8】 正 解 (3)

(1)は誤り。

 敷金返還請求は、賃貸借の目的物を賃貸人に明け渡し後、賃借人に不履行がないことを条件として発生するものである。したがって、明け渡し前は自働債権が弁済期にないものとなり、賃借人Aからの相殺は認められない。民法505条1項。

(2)は誤り。

 賃貸借契約が期間満了の際、別段の意思表示がなされなかったために更新された場合、更新後のAの債務不履行について、Bは敷金から差し引くことができる。同法619条2項ただし書。

(3)は正しく、正解。

 判決文によれば、賃貸借の目的物が第三者Cに譲渡された場合、敷金返還義務はBからCに承継される。Aは明渡し後、Bではなく新賃貸人Cに対し敷金の返還を求めなければならない(最判昭44.7.17)。

(4)は誤り。

 肢(1)の通り、敷金返還請求権は明渡し後、賃借人に不履行のないことを条件に発生するものであるから、Aの債権者Dが差押さえをした場合でも、Bは、Aの未払賃料を敷金から差し引くことができる。

【問題3-9】 正 解 (2)

(1)は誤り。

 保証人は主たる債務者の債権により相殺をもって債権者に対抗することができる。民法457条2項。

(2)は正しく、正解。

 債権者と連帯保証人との間で更改がなされた場合に、主たる債務者の債務は消滅する。同法458条、435条。

(3)は誤り。

 連帯保証人には分別の利益は認められない。したがって、CはBに対して、Dに2,000万円を請求するよう求めることができない(大判大6.4.28)。

(4)は誤り。

 連帯保証人には負担部分がないから、民法437条は準用されず、債権者が連帯保証人の債務を免除しても、主たる債務者は債務を免れることはできない。同法458条、437条。

【問題3-10】 正 解 (2)

(1)は誤り。

 自ら履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは契約を解除することができる(最判昭40.11.24、民法557条)。

(2)は正しく、正解。

 請負契約において、請負人が仕事を完成しない間は、注文者は損害を賠償して契約を解除することができる。なお、請負人は解除することはできないことに注意。同法641条。

(3)は誤り。

 売買の目的物に設定されていた抵当権の実行により買主が当該目的物の所有権を失ったときは、買主は、悪意であっても、売買契約を解除することができる(同法567条1項)。Aは契約を解除することができる。

(4)は誤り。

 請負契約の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができない場合でも、その目的物が建物その他の土地の工作物であるときは、注文者は請負契約を解除することができない。瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える場合であっても同様である(同法635条ただし書)。なお、瑕疵が重大で建て替えるほかはない場合、建替えに要する費用相当額の損害賠償を認める判例(最判平14.9.24)に注意。

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