不動産現場での意外な誤解 売買編121 物権法と所有者不明土地特措法との関係は?
住宅新報 2019年5月7日 号 8面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q 前回の〔売買編〕では、物権法に関するかなり難しい問題が続きましたが、それらの物権法と今話題になっている所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下「特措法との関係はあるのでしょうか。
A 大いにあります。それは、この特措法の最終的な目的が「所有権の制限」にあるからです(特措法3条(2))。
Q それはどういうことでしょうか。
A 詳しくは追ってお話ししますが、例えば所有者不明土地においては、長い間その土地を所有者以外の者が使っていたり(占有権や用益権の存在)、その土地に付着している抵当権などの担保権がそのままになっている場合があり、それらの問題の未然防止や解決には、最終的には土地の所有者に何らかのかたちで土地の「権利制限」をしなければならないと当局が考えているということです。
Q しかし、その他人の土地を使っている人は所有者以外の人なのですから、無断使用ということで排除できるのではありませんか。
A それがそうは簡単にいかないのです。なぜならば、その無断で使っているという人が本当に無断で使っているのかどうか、先祖代々からの小作人であったり使用人であったりして、無断使用であることを証明するだけでも大変なうえ、「時効」の問題があるからです。
Q なるほど、時効の問題がありますね。
A もしその人が「時効」を主張(援用)した場合、かなり面倒なことになります。それは、取得時効の要件は、「20年間、所有の意思を持って平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する(民法162条(1))。占有開始の時に善意かつ無過失であるときは、10年間の占有をもって所有権を取得する(同条(2))。」ということになっているからです。
そのため、仮にその占有者が他人の物であることを知って(悪意で)占有したとしても、占有者は「所有の意思」をもって占有しているものと推定されますので(民法186条(1))、それを覆すには、外形的・客観的にみて、その占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったということを立証しなければならないからです(判例)。
渡邊不動産取引法実務研究所
代表 渡邊 秀男
























