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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第282回 高級住宅街の土地と建物 景観を維持する意識の共有

  • 吉田 勝 不動産学部2年

    1 / 2吉田 勝 不動産学部2年

  • 高級住宅街には広い敷地をうまく活かした住宅が多い

    2 / 2高級住宅街には広い敷地をうまく活かした住宅が多い

 【学生の視点】

 強くなった日光が照る昼間は少し暑いが、春の夜風が気持ちいい時期になった。暖かくなるにつれて、虫もたくさんみられるようになったが、前回考えた高級住宅街の植栽(吉田勝「不動産の不思議第273回」19年3月5日号)では、今頃は虫との共生に取り組んでいることだろう。今回は高級住宅街の土地と建物について考える。

 1つ目は、敷地の活かし方である。高級住宅地の特色は一つ一つの敷地面積が広いことだ。広い敷地をうまく活かした住宅が多いものの、そうとはいえない住宅もある。うまく活かせば高級住宅地の高級感が更にプラスされる一方、逆の場合はより大きなマイナスを感じてしまう。

 プラスのケースは、住宅とバランスがとれ、よく手入れされた庭や、よく考えた配置と仕様の駐車場を設けている場合だ。道路に接する部分に庭や駐車場があると、住宅街の余裕を一層大きく感じる。

 住宅街の余裕は電柱が道路ではなく敷地内にあることも関係する。道路を広く感じるだけでなく、実際に広く使える利便性や通行の安全性が住宅街の品格を高める。

 マイナスのケースは、2段式の機械駐車場や、広い建築面積に追い出されるように配置された窮屈な駐車場が道路に接している場合だ。駐車した車が圧迫感を生む。特に、2段式の機械駐車場は車の底面やパレット、支柱の鉄骨などが高い位置で露出し、やさしい緑の景観を硬くしてしまう。

 2つ目は、建物の統一感である。立ち並ぶ住宅はレンガ風の外壁や門灯のデザインが統一され、色合いが黒色、灰色、茶色でほぼ統一されていて、とても気持ちいい景観になっている。外観が統一されているのは、ディベロッパーが一体的に開発したからだと考える。それ自体、一つの特長だが、より重要な特長は、統一感の中に個性があることだ(写真)。

 一方で、切妻屋根で統一感のある家並みの中に、突然目に入る陸屋根の住宅は個性が強すぎる例だ。まとまりのある景観を乱すだけでなく、1軒の住宅が必要以上に目立つことに違和感がある。

 2つの特色から、いい街を創ろうとする意識が多くの住民に共有されていると感じた。しかし、全員が共有しているともいえない。景観を今より悪くしない、今より良くするには、意識の共有を進めると共に、建築協定など目に見える制限を設けることも大切と考える。

 【教員のコメント】

 積算資料とともに新築住宅建設現場を歩けばコストを知り、既存住宅地を歩く経験を積めばバリューを知ることができる。バリューは資料に記載されるものではなく、見抜く力のある目に映る。住宅に宿る時間や人の想いがバリューの源泉である。

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