明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第280回 台形の角地の解決策 個性が魅力的な地域づくりに
住宅新報 2019年4月23日 号 4面
【学生の目】
関東の桜の花が散り緑の葉が育ち始める季節、無事進級できた2年次の新学期に心踊らせながら街を歩いていた。淡い緑が目立つ街中で、角地に立つ住宅に目がとまった。台形の角地で接道面が長く、同じ材料で仕上げた濃い茶色の外壁と塀のインパクトが大きかったからだ。外部仕上げに統一感があり、周囲の家とは違った雰囲気を感じた(写真)。この家と周囲の家との相違点をまとめると以下の通りだ。
1点目は、煙突だ。この一帯には煙突がある家は少ないが、この家には煙突がある。狭い家には煙突はつけないことから、ゆとりのある家であることを示すと同時に、欧米風のイメージを醸し出している。冬の季節、見ているだけでも暖かくなりそうで好感が持てる。暖色の外部仕上げが温かさを増加させることもうまくできている。
2点目は、ソーラーパネルだ。ソーラーパネルを設置する建物が周囲にないわけではないが、この家は煙突と組み合わせている点が特徴だ。環境に配慮している点に好感が持てるが、台形の角地で南面の屋根が広い上に障害物がなく、効率良く発電できる点で敷地の特性をうまく生かしている。
3点目は、入隅と出隅が繰り返される建物形状だ。台形の角地に大きく家を建てていることからやむを得ないが、変則的で不思議な形をしている。建物が3つ並んでいるようにも見え、アンバランスさを感じてしまうことは否定できない。
4点目は、大きなボリューム感だ。角地の住宅は街区全体の印象に影響することより植栽に工夫する(吉田勝「不動産の不思議第273回」19年3月5日号)ことも多いが、この建物は3つの出隅が道路に迫ることに加え、大きなサイズで高い位置にあるバルコニーの存在が建物のボリューム感を一層大きくし、圧迫感につながっている。この場所は第一種低層住居専用地域で指定建坪率は60%だが、10%の角地加算があって基準建坪率は70%である。このために大きなバルコニーを設置しても建坪率違反とはならないようだ。
統一感がありすぎると地域全体がつまらなくなってしまうが、地区計画、建築協定や緑化協定などで街区全体が共通して守るルールを作って住まいづくりの基礎的条件を合わせ、その上で家それぞれが個性を発揮することが、上品で魅力的な地域にづくりにつながっていくと考える。
【教員のコメント】
平成終盤の住宅市場では中古住宅流通活性化がテーマとなり、〝しっかり造って大切に使う〟ために建物状況調査や安心R住宅などが施策された。令和の時代には既存住宅の足りない部分を補い、流通価格に反映させる方法論が体系化されよう。























