マンション管理応援歌No.187 廣田信子の紙上ブログ コミュニティなしで合意形成できる?
住宅新報 2019年4月9日 号 6面

管理不全、その予備軍の高経年マンションの存在が大きな問題になっています。その一方で、様々な再生工事で長寿命化に成功しているマンションもあります。管理不全マンションは、いづれも人のつながりが希薄で無関心者の集まりです。それに対し、長寿命化に成功しているマンションは、ほぼ例外なく、しっかりとしたコミュニティがあり、その環境に愛着を持っている人が多いと、ヒアリング調査にはっきり表れています。
16年の標準管理規約の改正で、「コミュニティ形成」が管理組合の業務から外れましたが、管理組合の運営にコミュニティの存在が不可欠であると経験から知っている管理組合は、「コミュニティ形成」を管理組合の業務に残しています。 それでも総会で、「管理組合は財産管理団体なのだから、コミュニティに関することをやっちゃダメと国が言っている」と、極端な主張をする人が現れることがあり、合意形成に努力している人たちのエネルギーを削ぐことがあります。
標準管理規約では、美化や清掃、防災・防犯活動など直接的な成果が見える活動だけを、管理組合ができるコミュニティ活動に上げていますが、肝心なことが抜けているのでは…と、いつも思います。マンション管理で、最もコミュニティの重要性を感じるのは、重要事項の合意形成の場面だからです。大きな再生や建て替えなどの重要な意思決定には、4分の3や5分の4の多数の賛成が必要です。それは、個人的な希望を越えたところで、みんなで一つの方向に向かうことに協力しようと思えないと実現しません。
好きという気持ち
高齢の方が、未来のために今がんばろうと思うには、「このマンションが好き」「このコミュニティが好き」という気持が必要なのです。だから、再生・長寿命化にはコミュニティの力が不可欠なのです。
合意形成なしに、何もできないのがマンションです。その合意形成に不可欠なコミュニティづくりが、管理組合の仕事でないはずはありません。高経年マンションが再生・長寿命化に向かうのに、コミュニティなしにどうやって合意形成を図れるのかと、悩ましい思いです。人と人とのつながりづくりを無駄だというような発言が、管理組合の再生へのモチベーションを下げてしまわないかと心配です。
(マンション総合コンサルティング代表取締役)
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