不動産の仕事では、画像情報の必要なシーンが多くあります。例えば、マンション販売などの小冊子を作成するとなると、専門家にお任せとなり、相当額の制作費が必要です。専門的なDTP(版下の作成)までは無理としても、物件の写真程度は専門のフォトグラファーではなく、社員や心得のある人ができれば、経費節減だけでなく時短にもなります。
自社撮影のための機材ですが、いわゆる一眼レフではなく、今後を考えミラーレスを選定の基準とします。画像の細密度はカメラに使われているセンサーのサイズに依存します。スマホのセンサーは4.6×3.45ミリで、小指の爪よりも小さなサイズです。
一方、多くのプロが使っているカメラのフルサイズセンサーは36×24ミリあり、およそ面積が56倍違います。小さなセンサーに多くの画像素子を詰め込めば一つの素子が受ける情報は少なくなり、これをソフトで補完するとノイズの元になります。
大きなセンサーは一つの素子が受ける信号が多く、暗所でも正確な光信号が得られます。いわばセンサーサイズは「正義」なのですが、トレードオフとして価格が高価になりシステムも大きく、重くなります。そこで、センサーサイズをフルサイズの約半分にしたAPS-Cという規格があり、これを使ったカメラは価格もそこそこですし、重量も軽く小型であり、自社撮影用に向いています。レンズに関しては物件撮影で望遠を使うことは少なく、広角系のレンズを用意します。
実際の撮影では、三脚とLEDの面発光ライトが必要です。LEDライトは価格がどんどん下がり、かなり強力なものでも一台1万円以下で入手でき、これを1~2台用意すれば充分です。LEDライトは主光源として使うのではなく、暗がりを消すための補助光として利用します。例えば階段ホールの撮影では階段の下が暗がりになりますが、補助光を当てることで奥行きが出ます。また、リビングなどでも部屋のコーナー部が暗くなりがちですが、補助光によって、広がりのある画像が得られます。
撮影した画像はそのままで使えるケースは稀であり、必ず画像ソフトで補正する必要があります。代表的な画像ソフトはPhotoshopで、ほとんどの補正はこれ一本で賄えますが、例えばレンズの歪みに起因する曲がった直線の補正などはあまり得意ではなく、DxO Optic ProやDxO Viewpointなどを使って、きっちり水平・垂直を出します。
また、デジタルカメラで撮影した画像は全体にくすんだ色調になりがちです。紙面映えを考えると、あらかじめくすみのないクリアな画像にしておく必要があります。これはPhotoshopでも可能ですが、安価で簡単に補正するにはLuminarやPhotolumurなどがオススメです。どちらも補正プリセットが多数用意されており微調整も可能で、AIを応用して素早く美しい画像を生成してくれます。
印刷して最も気になるのはせっかく美しくクリアにした物件画像が濁って見えることです。これはPCのモニターやスマホの画面はRGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色で色を出している透過光であるのに対し、印刷物はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・黒)の四色を反射光で見ていることが原因です。濁りを回避するには、画像をRGBからCMYKに変換してプロファイルをつけておくことです。DTPデザイナーや印刷会社の使うプロファイルに整合した画像を提供することが重要です。
(建築家・中村義平二)

























