定期借地権の昨日・今日・明日(下) 定期借地権推進協議会運営委員長 大木祐悟 今こそ時代の要請 かつてのデメリットが利点に
住宅新報 2019年4月2日 号 5面
変化した土地情勢
定期借地権が誕生した当初は、相対的に土地の評価が高い時代であったため、例えば土地所有者は「期間満了で土地が返還されるか否か」を心配することが多かったことは前回までに述べた通りであるし、そもそも土地の所有にこだわる人も多かった。
しかしながら、定期借地権の誕生から四半世紀が過ぎた昨今は、「空き家」や「所有者不明土地」などが社会問題になるなど、土地を取り巻く情勢は大きく変わってきている。
また、低金利が常態化する中、投資利回りに対する考え方も保守的に変わりつつあることに加え、昨今では意識の低い事業者による不良賃貸住宅が社会問題になる中で、土地活用を考える地主においては「リスク対策」にかかる意識が大きくなりつつある。
定期借地権推進協議会では、土地をめぐるこうした状況から、これからは「所有と利用の分離」、あるいは「所有と利用の共存」の時代であるとみている。すなわち、土地を活用する所有者の側にとっても、またユーザーの側にとっても、所有という概念に加えて定期借地権という選択肢が広がることは、これからの時代の要請であると考えられるためである。
なお、期間満了で終了することは、借主の側から見た定期借地権のリスクであるといわれているが、筆者はむしろ、終期が明確になっていることはプラスの方向に働くという発想をしている。すなわち、期間満了で借地人が原状回復の上で土地を返還するとすれば、空き家が放置されることはなくなるし、例えば建て替えるか大規模修繕をするかで区分所有者が対立して意見がまとまらないマンションも散見されるようであるが、定期借地権付きのマンションの場合には、そのようなこともなくなるはずである。加えて、終期が明確であると、借地人はそれに向けた準備をすることもできることとなる。
不可欠な人材育成
なお、広い土地を所有する地主(例えば行政)については、仮に「小割り」で土地を第三者に貸すことになったとしても、期間満了で元のロットの土地が戻ってくることは大きなメリットであると考える。その時点の状況に併せて、大きなロットの土地の活用法を改めて考えることが可能であるためである。
以上のように、これからの土地問題を考える際には、定期借地権は一つの回答となり得るが、一方で定期借地権を有効に活用するためには人材の育成も不可欠である。そこで定期借地権推進協議会では、本年度から会員企業の社員を対象に「定借塾」(全6回)を開催し、2月に本年度の講座は終了した。参加者からの評価も高かったので、来年度以降もこの講座を継続することで、定期借地権の提案ができる人材の層を厚くしたいと考えている。
おおき・ゆうご=定期借地権推進協議会運営委員長。83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。現在は旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所主任研究員、NPO都市住宅とまちづくり研究会理事ほか。日本不動産学会会員、都市住宅学会会員。賃貸住宅経営、借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題、生産緑地問題等を中心とした不動産有効活用と、マンション管理、マンション再生問題、被災マンションの復興問題等についての講演や論説多数。























