オフィスエリアでソフト防災対策重要に、官民連携しシステム構築へ
住宅新報 2019年1月29日 号 4面
一元化で効率的に負傷者搬送
東京都によると、冬の午後6時に首都直下型地震(東京湾北部でマグニチュード6.9)が起きた場合、約448万人の帰宅困難者が発生すると予測されている。
東京駅周辺は日本のビジネスの中心地で、内外から多くの人が流入する。大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会の調査では、大丸有エリアに平日昼間に約28万人が滞在。多数の帰宅困難者や負傷者が発生すると見込まれている。
三菱地所や国土交通省、千代田区、JR東日本、東京メトロなどは1月23日、大丸有エリアの被災状況や負傷者の情報などを提供するシステム「災害ダッシュボード2.0」の実証実験を行った。仮救護所からの負傷者の搬送は人手が必要なため、災害時の課題となっている。同システムを使って効率的な搬送などを検証した。
「災害ダッシュボード2.0」は、クラウド型の情報共有システムで、千代田区や鉄道事業者、エリアのビル事業者などを利用者に想定。エリアのライブ映像のほか、負傷者などの位置情報、政府や東京都の公式ツイッター情報などをウェブ画面で一元的に映し出すことができる。
ライブ映像は千代田区災害対策本部、東京駅、有楽町駅などに設置した固定カメラの映像をリアルタイムで表示する。更に、セグウェイで巡回する丸の内仲通りの警備員やシャトルバスなど移動する映像を見ることも可能。周辺エリアの情報を共有する。
また、国土交通省が公開している東京駅周辺の屋内電子地図を使うことで、GPS電波が届かないビル内部や地下空間の人の移動も把握できる。負傷者のけがの程度を判定するトリアージをスマートフォンアプリで実施する。トリアージの情報をウェブ上に表示して、搬送が必要な負傷者を巡回バスでエリア内の医療機関に搬送。負傷者位置情報の有用性を確認した。
今回のシステムはエリア全体を俯かんして捉えることができるため「エリア内の事業者のBCP(事業継続計画)対策などに意義がある」(澤部光太郎三菱地所開発推進部統括)とみる。
災害情報を多言語対応に
森ビルは災害情報の伝達にITを活用しきれなかった東日本大震災の教訓から、ソフト面での対策を強化している。11年から六本木ヒルズで独自の配信システムの運用を開始し、住宅の居住者や来訪者などへタイムリーな情報提供を行う体制を構築。帰宅困難者受け入れ場所などの施設情報のほか、16年7月には東京都港区と協定を締結して、災害情報や警察からの防犯情報、交通情報も一元的に提供できるシステムとした。
3月からは日本語、英語に加え、中国語、韓国語の4カ国語対応とする。外国人が多い六本木ヒルズ周辺において、防災情報の多言語対応は課題の一つとなっている。
同システムは、六本木ヒルズのエリア放送を活用したもの。独自の周波数を利用しているため、携帯電話などの回線が混雑した場合でも機能する特徴がある。災害発生時に施設内に臨時のモニターを設置するほか、地下からの玄関口「メトロハット」に設置した大型モニターやワンセグ機能がある携帯電話、スマートフォンでも情報を提供する。
森ビルでは、災害情報システムの充実を図り、六本木ヒルズのオフィス専用部内や虎ノ門ヒルズへのシステム導入を検討している。
























