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スタンダード会員限定不動産の終活を考える(3) 不動産活用コンサルタント 齊藤正志  山林管理、相続登記など 所有者責任が問われる時代へ

住宅新報 2018年12月11日 号 5面

マンション・開発・経営
齊藤正志氏

齊藤正志氏

 今年は各地で台風や大雨などによって土砂崩れなど、甚大な被害が起きました。テレビなどの被害状況の映像では、山林に細い木々が密集して残っていたのが印象的でした。

 このような災害はどうして起きたのか、ということを一面から考えてみます。

危険な未管理山林

 昭和20年代から30年代にかけて、山林に人工林として杉やヒノキなどの植林が盛んに行われるようになりました。広葉樹を伐採し、針葉樹を植林するものです。

 伐採した広葉樹は薪炭などの燃料として、植林された杉やヒノキは建築資材等として使う目的で山林の開発がされていきました。

 この人工林は定期的な間伐や、下草刈りなどの管理が大変重要で、これらを怠れば様々な問題が起きてくるわけです。間伐をしないと1本1本の木が細く上に伸びていき密集していきます。それによって太陽の光が地表に届かず、下草や低木の木が生えず土のままの状態になり、大雨が降った時には一気に川に流れ鉄砲水として、また土に浸透して土砂崩れとなり甚大な災害が引き起こされてしまいます。

 近年、頻繁に起きている災害は、このような山林の整備をしなくなったこと、薪炭などの燃料や建築資材の需要が少なくなったことで、放置され、管理されなくなったことが原因とされています。

相続の未登記が原因

 また、所有者不明の不動産も増えてきています。正確に言うと、相続登記が何代もされておらず、所有者が特定できていない不動産のことです。相続が発生すると相続人に相続されますが、このとき、相続登記をしないままにしておき、それが何代か続くと相続の権利者が増えて全員での話し合いが困難になり、ますます権利者が増え解決不能になっていきます。

 更には、既に弁済がされている債務の抵当権が抹消されていなかったり、その他の権利も抹消されていないことも多々あります。

 これらも大変な問題になっています。例えば、自分の所有地の隣接地が所有者不明地だった場合、境界が確定できず売却しようにもできないなどが起きます。

 また、所有者不明地を含めた周辺地域を宅地開発や公共事業を計画しても所有者不明地からの承諾や、買収ができず計画が進まないということが起きます。

 前述した山林でも、近年企業やボランティア団体が山林の整備をしていますが、所有者不明の山林だと所有者から承諾が取れないために整備ができないということが起きています。

 このように、「所有者不明不動産」「未管理不動産」が増えることで、近隣、社会全体に対し多大な影響を与え、大変な損害を与えています。これらは、空き家問題と同じく深刻であり、解決不能の状態でありますが、世間からはさほど強い関心が寄せられていません。この問題の背景には、所有者が不動産に対し無知であることや、偏った考えで、無責任であることなどが隠れています。

 「空き家問題」「所有者不明不動産」「未管理不動産」問題、これらはせめて、所有者だけは明確にしておかなければ、何をするにも問題解決ができなくなることになります。所有者には責任を持った「不動産の終活」を考えてもらいたいものです。

 さいとう・まさし=北海道生まれ、岩手県盛岡市在住。積水ハウスに40年間勤務し、累計販売棟数570棟。当時より土地活用についてセミナー講師の実績多数。独立後は不動産活用プロデューサーとして定期借地権を活用した企画や、介護事業者とのマッチング、不動産コンサルティング業務など、幅広く手掛ける。自らアパートや介護施設のオーナーでもある。

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