割安で不動産を取得できるということから一般の方にまで浸透し、人気の高まっている競売不動産ですが、やはりこの取扱いには専門知識と業務ノウハウが必要です。なぜならば一般の不動産取引と異なり、買主の保護が十分になされてはいないからです。例えば、取得後の前所有者に対する立ち退き交渉などは、買主がしなくてはなりません。そして、ここにトラブルが発生するケースが多くあります。決められた立ち退き期日を過ぎても前所有者が物件に住み続け、立ち退く気配がないというものです。
この段階で困り果てた買主から競売不動産取引の専門家である競売不動産取扱主任者に相談があった場合は、正しい手順と法律知識をもってトラブル解決を支援します。その際、ADRを活用することも少なくありません。トラブルの原因として前所有者の「感情的な問題」がある場合は、じっくり話し合いの場を設け、相手の話を聞きながら交渉を進めることが重要だからです。
しかし、本来はトラブルになる前に前所有者に退去してもらうことが望ましく、そのためには落札後に速やかに前所有者と退去日に関する交渉をし、ここでしっかりと理解を得ておく必要があります。その際も、ADRは活用できると考えられます。つまり、退去日を決めるためのADRを行うのです。前述のように、トラブルにおいて前所有者の感情的な問題があるケースでは、前所有者は「こちらの今後の生活のことも一切考えず、退去を迫られても困る。こちらにも言い分がある」と考えていることが多くあります。もちろん、法律的な正当性は落札をした買主にありますが、交渉の内容が「所有権が移ったので退去してください。期日以降は不法占拠になります」というものだけでは、相手によってはなかなか退去せず、トラブルが長期化してしまうこともあります。

























