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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 売買編116 地役権には、隣地に何もさせないものがある?

住宅新報 2018年10月2日 号 8面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

資格・実務

 Q 前回の「地役権」に関する記述の中に、分譲主と分譲地購入者との間にはその分譲地内の私道の通行についての「合意」があると書いてありましたが、その合意というのが「地役権設定契約」ということでしょうか。

 A その通りです。もともと地役権というのは、「設定行為で定めた目的に従い、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益のために利用する権利」として当事者の合意で定めるものですから(民法280条)、その合意というのがまさに「通行地役権設定契約」です。そしてそのほとんどの合意が、分譲地の場合には「黙示の」合意だといわれています(判例)。

 Q ということは、分譲地内私道に認められる地役権は、法律上当然に生じるのではなく、あくまで「設定行為」によって生じるものだということですね。

 A その通りです。土地の分譲(切り売り)で法律上当然に生じる通行権は、囲繞地通行権以外にはありません(民法210条~213条)。そのような袋地であれば、袋地の所有者はその地主の残りの土地を無償で通行することができます(同法213条1項)。

 Q ところで、通行権には設定行為の相手方に何かを「させる」のではなく、「させない」地役権もあると聞きましたが。

 A あります。その中で一番多いのが、一般に「観望地役権」とか「日照地役権」といわれるもので、その要役地(建物を建てる方の土地)の眺望や日照を妨げないように承役地の方の建物をセットバックするとか、空き地にしておくといった地役権で、それらを総称して「不作為の地役権」といっています。

 Q すると、例えば隣地を要役地の「駐車場」にするために、空地にさせておくというような「不作為の地役権」はあるでしょうか。

 A ありません。なぜならば、地役権は自己の「土地」(要役地)の便益のために設定する権利であって、自分という「人」の便益のために設定する権利ではないからです。つまり、地役権というのは、その隣地(承役地)に一定の作為または不作為を課すことによって、自己の「土地」(要役地)の利用価値が増す必要があるのであって、単に隣地を自分の「家」の駐車場にするということであれば、それは自分の「土地」の利用価値が増したことにはならないからです。

渡邊不動産取引法実務研究所

     代表 渡邊 秀男

 

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