アパート、マンション等の賃貸住宅へ入居する際には、賃貸借契約に基づき、家主に敷金や保証金を納める例が多く、これらの金銭は、賃貸住宅から退去した後、家主が滞納家賃や原状回復費用(賃貸住宅の修繕費等)を差し引き、残額を借主に返還すべきものと考えられています。しかし現実には、賃貸住宅を退去した後、家主が敷金や保証金の精算に応じない、敷金や保証金を超える高額な原状回復費用を請求された、などのトラブルが発生しています。
例えば、「畳替えの費用とルームクリーニング代を敷金から差し引かれた」「不注意でトイレのドアに穴を開けたところ、高額な修理代を請求された」「カーテン代等を請求された」等がありますが、これらのトラブルが発生する理由は、(1)原状回復の趣旨が正しく理解されていない(2)退去時の立ち会いが行われていない、あるいは立ち会い時の現状確認が不十分であるか、確認したことの記録が残されていないということが考えられます。(2)については、退去時に関係者(借主、家主、管理会社、仲介業者等)の立ち会いがなく双方で壁、床、柱等の傷や汚れの現状確認をしていない場合や、立ち会い時の現状確認が不十分、あるいは立ち会い時に確認した点を記録に残さなかった場合、後で入居者にとって身に覚えのない損耗個所を指摘され、修繕費の追加負担を求められるなどのトラブルにつながりやすいのです。
敷金に関する専門家である「敷金診断士」がトラブル解決の相談を受けた際は、この(1)と(2)について主に確認をするようにしています。(1)については「賃貸住宅の原状回復とは、借主が居住したことによる賃貸住宅の価値の減少のうち、借主の故意・過失等、通常の使用方法を超える使い方によって生じた損耗や毀損(きそん)を復旧することをいい、入居時の状態に戻すということではない」ということを家主、入居者共に認識を持ってもらいます。(2)については、トラブルのあった家主、入居者と一緒に部屋に入り、原状回復が必要だと考えられている箇所の一つ一つを確認していきます。その際、入居者は入居時の部屋の使用方法や経年劣化による損耗の箇所を説明します。この説明を受けた家主は、多くの場合で入居者の説明に理解を示し、その後持たれる話し合いの場でもスムーズに和解がなされます。

























