買取再販に熱視線 参入続々、専用ローンも後押し 中小は仲介網で共栄か
住宅新報 2018年8月28日 号 1面

エフステージが手掛けるリノベーションマンションブランド「アライズ」シリーズ
中古マンション再生流通事業を手掛けるインテリックス(東京都渋谷区、山本卓也社長)は18年6月末にリノベーションマンションの販売累計戸数2万戸を達成。06年以来13年連続で1000戸超の販売戸数を誇る。
また、住宅ローン大手のアルヒ(東京都港区、浜田宏社長)は、不動産業者専用の買取再販ローンの販売を17年7月に開始。1社当たり3億円以下を融資上限額とし、仕入れ資金とリフォーム費用を仕入れ時に一括融資。築古物件でも取り扱いが可能で、約1年で申し込みは365件、約220社の事業者が利用している状況だ。
〝出口戦略〟に注力
「この5年、買取再販市場は拡大し、特に東京のマンション相場は上がっている」と話すのはエフステージ(東京都文京区)の藤島昌義社長だ。同社は都内を中心に中古マンションの買取再販を行い、これまでに4000戸超のリノベ物件を販売。子会社のリノステージがリノベーションとアフター保証を担い、高品質で充実した保証付きのリノベマンションブランド「ARISE(アライズ)」シリーズなどで一次取得者層を中心に顧客をつかむ。
平均的な改装費は築30年・60m2のマンションで500万円と手厚い点が特徴で、平均販売価格は3000万円台半ばから後半。また、仕入れから販売までの回転が早く、平均保有期間は約120日。自社による現場管理に加え、ショールームや完成パースで仕上がりを見せる工夫により、工事期間中に3割以上は成約に至るという。更に独自の10年保証とアフター専門の迅速な対応窓口を用意。自社が「リスク」を担う姿勢を顧客に打ち出すことで、選ばれる企業として勝ち残る自負がある。
ところが、同社はこれまでの仕入れにおけるBtoBにとどまらず、BtoCのスキームを強化中だ。「仕入れ情報の7割近くを大手が占めていたが、近年、ウェブで一括売却査定をするなどエンドユーザーの売却行動が変化。大手仲介会社も自社で買取を始めたことで仕入れ価格が高騰している」(藤島社長)と戦略の転換点に立ち、新たに女性営業職を採用。綿密な営業力を武器に地場の仲介業者の開拓を推進。「地場業者からの仕入れの場合、賃貸管理から売却へつながる話や士業からの紹介で相見積もりがないケースが多く、利益率が高い。17年度は大手対地場業者の仕入れ比率が五分五分に改善した」と手応えを語る。また、低グロス(2500万円以下)のシェア獲得のため17年4月に立ち上げた新ブランド「マイホームR」も1年間で100件以上の成約につながったほか、今期は購入後の生活満足度を高めるための会員組織やリノステージ内に仲介部署を立ち上げるなど、ブランディングを強化している。
三者で仕入れ前調査
中古買取再販最大手のカチタス(群馬県桐生市、新井健資社長)は、5万~30万人規模の地方都市を中心とした戸建て販売が主戦場だ。18年3月期の販売戸数は3692戸。グループ企業のリプライス(1081戸)と合わせた売上高は692億円となり、前年比二桁増と躍進する。今期も第1四半期(4~6月)を終え、連結売上高202億円(前年同期比22.6%増)、営業利益22.5億円(同34.5%増)、販売戸数1328戸(同14.3%増)と好調。その要因について新井社長は、(1)商品力の向上、(2)仕入れ体制の構築――の2点を挙げる。特に(1)の商品力は、戸建てを扱うカチタス独自で、雨漏りや蟻害、土地境界線などの権利問題といったリスクへの継続的な取り組みだ。
同社ではこれらのリスクを最小化するため、シロアリ駆除業者、リフォーム業者と共に三者立ち会いで仕入れ前の物件を徹底調査。「戸建ては目に見えない箇所への対応が難しく、仕入れ後の追加リフォーム費用や引き渡し後のトラブルを招きうる。当社では累積4万戸以上、毎週100件の売買実績から最新の仕入れとリフォームのノウハウを実践している」(新井社長)。
また、(2)の仕入れ面では仲介事業者との販売体制を強化した。同社前身の「やすらぎ」時代、仕入れの9割超を占めた競売から買取へ移行。現在は買取のうち7割は大手を含む地場の仲介業者経由となる。特に仲介業者がそのまま流通させることが難しい築30~40年の空き家を活用するなど、「仲介業者にとっても安心して販売できる商品を心掛けている。仕入れ・販売両面でのネットワークを強化し、ウィンウィンの関係づくりが進んでいる」(新井社長)。
「品質保証」「消費者目線」 市場成熟に問われる企業姿勢
買取再販市場の命題は何か。仲介手数料不要の売主直販サイト「FLIE(フリエ)」を運営するマンションマーケット(東京都中央区)の吉田紘祐社長は、「販売コストの圧縮を図りたい事業者やブランディングを進める事業者など命題は様々だ」と指摘する。同社は7月末に同サイトを始動し、現在、買取再販業者約20社約750物件を掲載しているが、「買主心理として、きれいで安心な物件を選ぶため、リフォーム・リノベ済み物件は今後も件数が伸びる見込み。事業者による品質保証が可視化されることが、購入の裏付けになる」と語る。
新井社長は「業績が伸びてはクレームが出て、対応する。その繰り返しが宿命。トラブルの発生を未然に防ぐ商品力とそれを支える人材の育成によって、顧客の支持を固めていくことが市場の成熟に不可欠だ」と力を込める。
また、藤島社長は「大手寡占、中小淘汰」を予測し、その対抗軸として事業者同士の連携、特に「消費者目線のサービス」の追求をキーワードに挙げる。競争激化の市場にあって、リスクを担保する事業者側の姿勢と継続力が市場の成熟には欠かせないのではないか。























